ランニング フォーム 改善! 骨盤 肩甲骨 姿勢 習慣 など

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

身体操作教本:「身体意識を鍛える」 高岡英夫著

ランニングフォームに必ず役立つ!身体意識の基本を理解しよう!

 

 「究極の身体」に続いての高岡英夫先生の本の紹介です。自分は、初めに読んだ先生の本が「究極の身体」の文庫(2009年発行)ですが、この「身体意識を鍛える」は2003年発行ですので、同じテーマの本を遡って読むことになります。
 もちろん、テーマ(身体操作)は変わらないので被る内容も多いのですが、テーマ自体が深いのと、著書の長年に渡る知識、見識、体験などが豊富および深いので、読者を飽きさせません。また、被らない部分やその理論の基本的な土台も見えてきて、より全体的な理解が深まります!

 

 

 さて、冒頭の章では、人間の身体を自転車に例えます。

 あなたの身体はどっち?

筋力が多くても、ボロボロの自転車のような身体の場合もある。逆に筋力が少なくても、身体のクオリティが高ければ、万全に整備された自転車と同じ感覚が得られる。

 

著者の各書で、身体意識の達人として度々とりあげられるイチローの登場です。

イチローのパワーを生み出す3つの条件
バランス:センターが非常に発達している、バランスが左右均等、身体がゆるむ
分散加算:センターに意識が通ると背骨の深層筋群が活性化する、力を抜くタイミングでは筋肉がゆるめられ、力を入れるタイミングでは一気に収縮することができる
脱ブレーキ筋:大腿裏筋群=ハムストリングスを活性化する身体意識が発達している

 あの体格で大リーグで大活躍している秘訣は、身体意識の高さにあるという。もちろん、一般人からみれば、プロのアスリートは全員、身体意識が高いといえるでしょうが、イチローはその意識が高いというレベルではなく、極めているのでしょう。また、意識として覚醒しているのでしょう。

 

次に、この本でのメインテーマである7つの身体意識の紹介です。

効率的な身体づかいをするために重要なカギを握る7つの身体意識

  1. センター
  2. 丹田
  3. 中丹
  4. リバース
  5. ベスト
  6. 裏転子
  7. レーザー

そして、7つの身体意識を活性化させるためのポイントをそれぞれ説明しています。 

 

7つの身体意識は著者の各書では、全部登場せずに一部だけの場合や7つ以上登場することなど内容に合わせて変化していますが、この「センター」は必ず登場します。

センターはハムストリングスを活性化する
ハムストリングスの位置には6つ目の身体意識「裏転子」がある。センターはこの両脚の裏転子とともにハムストリングスを活性化させる

「センター」とは他の言い方では、体軸であったりするのですが、「軸」という意識が強いと身体をひねるような動作が多くなるように思います。効率的なランニングフォームを考える 場合、この「ひねる」という動作は余計な身体意識となってしまうことがあります。効率的なランニングフォームにおいては、結果的に下半身と上半身の動作、具体的には、骨盤の動作と肩甲骨を含む腕の動作において、腰のあたりの上下で左右逆方向へベクトルが働き、外観的にひねられているように見えることがあるのであって、意識的に腰のあたりの筋肉を稼働して身体をひねっているのではないのです。
とはいえ、身体をひねらないように、体幹を固めて走るのも、もちろん効率的なランニングフォームとは言えません。なので、効率的なランニングフォームのために意識すべき「センター」=軸とは、上下に、その時々で引っ張りあう中心線というイメージがよいかと思います。
そして、その上下で具体的に引っ張られるポイントとして、上半身では首、下半身ではハムストリングスの活性化(覚醒)が重要だと思います。どういうことかというと、上半身において、首の筋肉を活性化(覚醒)させる(顎をひいたり、上げたり、ひねったりする)と、鎖骨、肩関節、肩甲骨周りが解放しやすくなりますよね。そうすると、脊椎周りで軸を感じやすくなると思うのです。また、下半身においては、ハムストリングスを活性化させて伸ばせるようになると、骨盤が前傾して(感覚的には骨盤が浮いて)骨盤周りが解放されて、仙骨辺りで中心を感じやすくなり、仙骨を中心に左右のハムストリングスを意識するというのは、イコール、下半身において、下方に引っ張られるセンターを意識することにつながると思います。

 

丹田の意識向上は、なんといっても腹式呼吸を実践するのが重要なのはすぐにわかるのですが、横隔膜を活性化させるというのは初耳でした。

丹田は横隔膜を活性化させる
横隔膜が活性化すると腹式呼吸がしっかりできるようになる。すると、1回の呼吸でたくさんの空気を深く出し入れできる。

 

普通、丹田と聞くと下丹田をイメージしますよね。その丹田に「下」がついているからには、「中」「上」があるのでしょう。「中」は胸の中央、乳首を結んだ中点。ちなみに「上」は眉間の奥でした。 身体意識を向上させるには、「上」はおいといて、ます「下」次に「中」を活性化させていくという順番が重要なようです。そして活性化の基本はさすったり、軽く押したりというソフトな刺激がポイントとなるようです。

 中丹田を育てていくときには、一緒に下丹田も開発して、下丹田がきちんと中丹田の抑えになるようにトレーニングしていくことが必要になります。

 リバースのイメージは、上丹田からの弓なりラリーですかね。上丹田からテニスでいうところのロブを上げていく、それを同じくロブで打ち返してもらうというような。テニスやバレーボールのサービスでいえば、上からたたくサービスではなく、ボールを下から打つイメージ。打ち返してくださいね、というような。

リバースをかけてもらうように自分が行動しつつ、同時に相手にリバースをかけてあげるように行動する・・・つまり、リバースには2方向ある

 

 ベストが活性化されると、肩甲骨まわりが動きやすくなることは容易にイメージできますよね。下着などのベストを着ているイメージで、そのラインを意識すればよいのですから。なるほど、マラソンのエリートランナーは真冬でも基本、ベストを着ているのがピンときました。文字通りベストでベストを活性化させて、身体意識を高めて、身体を深いところで動かせるようにしているのですね。

ベストが備わると、肩関節よりももっと内側、つまりベストのラインの断面上がもうひとつ別の大きな関節になったかのように腕を動かすことができる。

 

 裏転子とは、いわゆるハムストリングスのことですが、下にあるように臀部寄りの部分(膝寄りの部分ではなく)を意識することらしいです。大前提として大腿四頭筋の力を抜くことが重要です。

裏転子がある人は、身体を支えている中心がももの裏側からお尻にあります。つまり、後ろから支えられているのです。

 

仙骨を意識することは、センターを活性化することにもつながりますが、さらに前方向のベクトルを意識することにもつながるというのです。仙骨を意識できることって、とても重要なことです。

大腿骨が振れるときの2つの回転軸=股関節のちょうど真ん中の位置仙骨に、人間が進むときのガイドラインとなるレーザーという身体意識が成立すれば、最もその回転軸がコントロールしやすくなる。

 ランニングでは、踵(かかと)からの着地はブレーキ作用となりご法度ですが、初動のときの踵荷重は重要なポイントとなるようです。

踵線(しょうせん:踵に形成される身体意識五輪書の水の巻「足の使い方のこと」という項に『足の運びは、つま先を少し浮かせて、踵を強く踏むべし』と書いています。

 

具体的な身体意識の作り方や注意点の紹介(以下、抜粋)です。
下の引用にあるセンターの作り方以外のコツは、背骨のしなやかな軸意識です。私が活用しているのは、ストレッチポールで背骨をゆすることです。立位では、環境センターを見つけて、尾骨を前後させたり、あごを上げたりひいたりして、環境センターを見ながら脊椎に中心軸を感じたりしています。 ランニング中は、骨盤(腸骨)を左右にゆすってみたり、肩甲骨は左右にゆすってみたりして、左右均等にやや大げさに動かすことでセンターを改めて感じたりしています。

センターの作り方
身近にあるセンター(環境センターを見つける
②環境センターを人差し指で2~3回上下になぞる。そしてまっすぐな感じを味わう。
③なぞった人差し指を、自分の身体の前に立て、さらにまっすぐな感じを味わう。
④人差し指からまっすぐスーッと伸びた感じがしてきたら、それを自分の身体の中(センターが通る部分)に写し取る。位置的には、身体のど真ん中よりもやや後ろの部分、つまり背骨の前端にあたる部分身体の重心は、普段よりもやや高め
⑤写し取ったセンター(らしきもの)を中心に一回転してみる。
⑥環境センターから徐々に歩いて離れてみる。

 

タンブリングのポイントは、ずばり②の玉芯の意識でしょう。普段、会陰って意識しないですよね。場所さえ認識していませんでしたよ。ここの意識を持つことで、重心のコントロールが楽になってきます。
また、玉芯をつくることで、脚の外旋内転が可能になります。
さらに地芯(地球の中心)や天芯(空のかなた)への抽象的な意識形成も大切ということで、芯がポイントになってきます。 

タンブリング(上級者トレーニング)
ウナ(脛骨の真下の足裏)を作る:ウナの位置を指で押してよく刺激する
玉芯(会陰を広め引きあがった状態)をつくる
膝玉(膝裏の空間)内踝(内くるぶしの高さ)を作る:玉芯をキープしたまま脚を閉じ、膝裏に触って膝玉を意識、次に同じように内踝を触って意識する
④他の玉を作る:腰玉(仙骨の前)、院玉(へその高さ)、脊玉(ほぼ乳首の高さ)、頭玉(耳の上の高さ)、天玉(頭頂部、百会)
⑤下半身の玉を意識でつなぐ:ウナに全身の重みが集まるように、軽く身体内部を感じながら、タンブリング(上下運動)をする。「ウナに乗る、乗る、乗る・・・」
⑥地芯(地球の中心)と下半身の玉を意識でつなぐ:タンブリングをしながらウナで地芯に乗る。地芯はシルバーの意識。地芯に乗れるようになったら、地芯から微妙に跳ね返ってくるような、シルバーの反発が立ち返ってくるような感覚をつかむ。「地芯に乗る、乗る、乗る。返ってくる。くる、くる・・・」
⑦上半身の玉を通す:玉芯までのシルバーの反発が感じられたら、タンブリングを続けながら、意識のラインを上に伸ばす。天玉まで到達したら、そのまま天芯(天)まで伸ばす。「天芯を突く、突く、突く・・・」続いて、頭玉、脊玉、院玉、腰玉、玉芯の順で天芯を突いていく。さらにタンブリングをしながら天玉が天芯より吊られているようなイメージで。「吊る、吊る、吊る・・・」
⑧地芯から各玉、天芯をつなげる

 

いわゆる腹式呼吸の実践ですが、その際に組掌印(接客の待機の状態での身体の前で手を合わせる感じ)で丹田を意識することがポイントです。 

丹田を作る
①おへそと恥骨結合のちょうど中点にある丹田の中心を押す。5~10回
組掌印を作り、下丹田の前に添える。
丹田を感じながら呼吸をする。

 

中丹田を骨格上の位置でいうと、胸骨体の中央くらいですかね。胸骨自体を意識することも普段ないですね。胸骨体をさするだけでも中丹田は活性されそうです。

中丹田を作る
①胸全体を掌でやさしくさすってほぐす
②左右の乳首を結んだ線の中点あたりにある中丹田の中心を、ジワーッと押す
合指頭印を作り、反対側の掌や机など平らなところを叩く。それから、同じように中丹田の中心を叩く。
五指頭印を作り、中丹田の中心を取り囲むようにして叩く。

 

リバースの作り方がわかっても、対人の場合はやりにくいですよね~。 

リバースを作る
①まずは胸をよくさする。次に、自分の聞き手の指を、ちょうど中丹田の中心に置く。
中丹田の中心に置いた指を、相手もしくは対象となるようなものに向かって、放物線を描くように何度も動かす

 

ラソン選手が皆、一様にランニングシャツを着ているのは、袖があると擦れるからという理由以外にもこの「ベスト」の意識をしやすいからなのかもしれませんね。

ベストを作る
①ベストラインを確認する。正面は、鎖骨の真ん中から乳首を通り、脇に向かって曲線を描く。脇の位置は、肩を落とした状態で脇の下に手をはさみ、ちょうど指4本分の幅をとったところ。背中側は、肩甲骨と背骨の間を通って、鎖骨の真ん中につながる。
②ベストラインを左右両方ともよくこする
③ベストラインの意識が高まってきたら、肩→胸→脇→背中→肩という流れで、ラインに沿って上体を回す10~20回行ったら、肩をストンと落としてみる
④左肩を少し下におろし、右手で左のベストラインをこする。次に、こすった腕をベストラインに沿って振って感じを確かめる。右も同様に行い、ゆるゆる歩きをする。

 

 身体意識の作り方の基本は、よくこすることなのですね。これは、普段から実践したいことです。特に朝、起きたときとか、仕事中の休憩の時とかに。また、冬では、手がかじかんだときにハムストリングスをさするようにしています。

 裏転子を作るトレーニング(リアストレッチ)
①裏転子をよくこする。こすったら、軽く身体をゆすって全身の無駄な力を抜いてから、両脚を腰幅に開いて立つ。
②膝は軽く曲げる。次に、その状態のまま、上半身を前にダラーッと垂らす。このとき、の裏をゆるめて
③裏転子を意識しながら、ハムストリングスをゆっくりと3秒ほど伸ばす。そのとき、「いちように」とつぶやきながら伸ばす。
④伸ばしたら、パッと膝を曲げて、②の体勢に戻る。これを10~15回繰り返す。

 

ランニングの場合は、よくお腹の辺から前に引っ張られているイメージを持つようにとか(重心を上げるのに胸などと言われる場合もあります)言われますよね。まさしくそのイメージです。ヘソから引っ張られるだけでなく、さらに背中から突き抜けて進行方向に進んでいることにより上半身の姿勢が崩れる(猫背になる)ことを予防していると思われます。

レーザーを作るトレーニング
オヘソと恥骨結合の中点右手の中指で何度か押す。次に、背中側から仙骨左手の親指で押す。何度も押して、左手の親指から右手の中指に向かって、意識のラインを作る
②意識が作れたら、右手の人差し指を前方に伸ばしていく。意識が十分に伸びたら、そのラインを意識しながら歩いてみる。

 

何と、著者は、身体意識が社会的な貢献を促すということを最後に示唆しています。確かにスポーツがプロだけでなく、一般にこれだけ浸透しているのはストレス発散や趣味を超えた何かがあると言えます。ただ、それは単に血流が良くなって、頭がさえるなどの理由しか思いつかないのが普通ですが、この身体意識は具体的です。さっそく実践していきましょう!

おわりに
センターを最も強く身につけ、その上に中丹丹田リバースを身につけることだけは、どなたにもやっていただきたい。このアイテムの取り合わせが、何よりも互いの共存協力なくしては生きていけない人間存在の根幹をなす身体意識のバランスだと考えるからです。

 

身体意識を鍛える―閉じ込められた“カラダのちから”を呼び覚ます法