ランニング フォーム 改善! 骨盤 肩甲骨 姿勢 習慣 など

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

身体操作教本:「 本当のナンバ 常歩(なみあし)」 木寺英史 著

ナンバを研究した剣道教士の集大成! ランニングフォーム改善の参考にもなる興味深い内容です!

 

ランニングフォームの本をいくつか読んできて、時々、「なんば走り」というキーワードに出くわしました。たいてい、その走り方は江戸時代の飛脚の走り方として同側の手足が前にでるフォームとして簡単に触れられるだけです。なんだか気になって、その「なんば走り」をもっと深く知りたいと思い、ネットで調べていたらこの本に出合いました。
 著者が剣道の有段者で、剣道研究家であることもあり、後半は主に剣道における足さばきを中心に解説してあるが、前半は「なんば走り」について、「常足(なみあし)」と言い替えているが、詳しく解説してあって、足運びの写真なども豊富です。
 第一章は、「なんば」というキーワードの解説です。著者が文献や資料をもとに研究した成果が伺えます。

 

第一章「なんば」についての誤解

  • 広辞苑によれば、「なんば(なんばん)」とは、歌舞伎や舞踏の演技で右足が出るときに右手を出すような、普通とは逆の手足の動作をいう。
  • (和服についてのHPでの現在の一般的な「なんば歩き」の解釈として)「出す側と同じ側の腰が前にはいる」「出す足と同じ側の手が出るといったが、むしろ同じ側の腰を、いれるのがコツである」といった解説がなされており、「なんば歩き」は腰のねじれがないので、着物の着くずれがおきにくい、とされていました。

 第二章では、具体的に 常歩の歩き方、走り方のコツが紹介されます。股関節の動かし方や着地足の抜き方など、他のランニングフォーム教本ではあまり詳細に解説することのない身体の動かし方が詳細に紹介されます!ランニングフォームのテキストではないので当たり前かもしれませんが、自分としては、とっても開眼的な内容でした!

第二章 常歩(なみあし)とは

  • 腕をだらりと下げてゆっくり走り、十分に肩甲骨周辺が脱力していると、足と手が同方向に振れてきます。中略 振り出される脚と同側の肩が前方に動くのではなく、振り出される足の逆側の肩が前方へ動きます。つまり、着地している足と同側の肩が前方へ動くのです。私はこの走り方を「なんばジョギング」と名づけました。
  • 体の中心を通る一本の軸ではなく、左右二本の軸を交互に使って走る感覚、これが常歩を「二軸動作」とも呼ぶゆえん。左右の軸感覚というと力が入った感覚(力感)だと考える方が多いようですが、この感覚は力感ではありません。充分に体幹の脱力が得られたときに感じられる体重を支える支持線です。このことはとても重要です。二軸の動きを身に付けるには、充分な体幹の柔軟性とゆるみが必要なのです。
  • 常歩(なみあし)は馬が普通の速度で歩く時の歩き方ですが、その様子をよく観察してみると、左右に軸をつくり、体を左右に揺らしながら前に歩いています。そこで、この二軸を操作した走歩行(運動)を「常歩」と名づけた。
  • 腕の動きをなんば型であるとか、交差型であるとかを意識するとうまくいきません。腕は振られるまま任せるといいようです。
  • ターンオーバーを可能にする骨盤の動きは意識してできない)そこで重要な役割をするのが股関節なのです。股関節が外旋する、または外旋力が働くことにより、この骨盤の動きが誘導されることがわかってきました。股関節が外旋するというのは股関節が膝と足先が外側を向くように動くことをいいます。
  • 常歩LSD:脚幅を骨盤幅(股関節幅)に開いて立つ。つま先と膝をすこし外側に向けて股関節を外旋位にする。(つま先が外側を向いても、膝が正面を向いている「膝下外旋」にならないように注意)つま先と膝の向きを一致させることが重要。膝は多少曲げて、伸ばしきらないようにする。また、足幅を意識するあまり目線が下がらないようにする。まっすぐ前方か、やや上向きにする。そのままゆっくり倒れこむように走りだしましょう。倒れこむようにというのは後ろ足で蹴らないということです。また、自分の重心を感じてください。一歩目で重心が少しでも持ち上がる感じがするときには蹴っているのです。重心が斜め前方へ滑り落ちるように出て行けば理想的です。
  • 少し慣れてきたら、次は左右の軸を感じてみましょう。思い切って自分の重心を着地足側に乗せてみましょう。重心が右左右左と移動するのが感じられると思います。さらに、左右軸の感覚を身に付けるためには踵から小指側のアウトエッジに足圧が抜けるような感じで走りましょう。親指の付け根の母指球はほとんど接地しないで浮かせたままにしておくような感じです。常歩走歩行の感覚は「踵が後ろにのこる感じ」「足裏全体で着地して、足裏全体がパッと離れる感じ」「自然に後ろ足が前方へ振り出される感じ」など人によってさまざまです。

  第三章では引き続き身体の操作法の解説ですが、基本的な身体の運び方は二章で解説されていて、そのおさらいです。この章で特筆なのは、顎の位置と表情に関してです。ポーズランニングのテキストでも著者が、エリートランナーは揃って「禅」のような力んでいない表情をして走っていると指摘していたが、この本を読んで、腑に落ちました!

 第三章 常歩(なみあし)の身体操作

  • 常歩の身体操作の基本は、体をねじらないこと。中心軸感覚の動作が体感をねじることによって生み出されるのに対して、二軸感覚の動作は体幹として使うことに特徴があります。体感を面として使う場合に、大きく影響するのが股関節の柔軟性です。
  • 顎を引いてしまうと、鎖骨に付着している筋肉(鎖骨下筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋)が収縮し肩甲骨を上方へ引き上げた状態になってしまいます。顎を多少出すとこれらの筋群がゆるんで肩甲骨が外側下方向へだらっと下がり、動きやすいフリーの状態になります。この状態を、私たちは肩甲骨の「外放」といっています。
  • さらに、肩甲骨の動きと関係があるのが顔の表情です。顔の筋肉(表情筋)がゆるむことによって肩甲骨の動きを制御する胸鎖関節周辺の筋肉がゆるみます
  • 感覚的にすり足の原理は、つま先で接地し踵で離地(踏む)します。踵で離地するときには、足裏全体がパッと一瞬にして離れる感覚になります。踵を踏んだ瞬間に膝をパッと前方に送って前足に軸を移しかえるのです。

 第四章では、類似動作を例にとったり、呼吸法や丹田ということについて触れています。また、著者がテレビで日清食品のCMを見て、「あー、常歩だー」と叫んでしまったいう体験が紹介されています。そのCMが以下です!


ジタンだ踏む。

 第四章 常歩(なみあし)の身体感覚

  • 竹馬二軸動作。竹馬は歩いているときの方が安定します。安定するための中心軸感覚がありませんので、立ち止まることは苦手ですが、とても動きやすいのです。

  ここから後半は、主に剣道の足さばきの解説となりますが、それでもランニングフォームの身体感覚に役に立つポイントが随所に出てきます!

第五章 常歩(なみあし)による剣道

  • 常歩の基礎となる立ち方:足を肩幅(骨盤幅)に開く。足先はやや開く。足先と膝頭を同方向にする。⇒股関節外旋位 次に膝を少し曲げて、骨盤を前傾させる。骨盤を前傾させるというのはお尻が少し後ろに出るような感じです。その骨盤の上に楽に上体を乗せて立ちます。腕はだらりと下げて顎を少し出す感じにします。多少胸を張って体幹のアーチを作るのですが、このアーチは、それぞれの柔軟性や上体のゆるみ方によって異なってきます。
  • 理想的な姿勢は頭頂・肩の真ん中・大転子が垂直に並ぶ。二軸感覚の立ち方は、重心を踵の方へ落とします
  • 足を前方に進める、このとき、足先を最初から前方に押し出すのではなく、送り出される足の膝から前方に動かすようにします。この動きを膝の「抜き」といいます。膝を抜いて足を送り出したときに、着地足の踵が上がってはいけません。上がらないどころか踵に足圧がかかるようにします。そして、送り出された足が静止し、踵が床に落とされると同時に着地足の足裏全体がパッと離れるようにします。この動きを左右繰り返してください。絶対に着地足で蹴ったり、身体を前方に押し出したりしないことです。着地足は支えるだけです。
  • 常歩の打突は右膝を抜くことによって重力に自分の体を引っ張らせるのです。右の膝を抜いたら、次に体重を左踵で支えます。左の股関節は外旋位にしていますから、左足の踵を踏むことによって股関節に外旋力が加わります。このときに股関節を意識的に外旋させる必要はありません。股関節が外旋位に保持されていれば自然に外旋力がかかり左腰を前方へ押し出してくれます。

  最終章の「森田理論」とは、著者が合理的身体操作を研究するきっかけとなった剣道の先生の理論のことです。それにしても、宮本武蔵五輪書からの言葉も引用されていて、「きびす(踵)を踏む」とか「おとがい(顎)を出す」などが下の武蔵の自画像からも見て取れるとは驚き!

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第六章 森田理論の考察

  • 歩行や動きを検討するときに大切なことですが、四肢の動きで理解しようとすると、動きがまったく理解できなくなることが多いのです。四肢の動きではなく、体幹の動きに置き換えて考えるといろいろなことがわかってきます。
  • 踵を強く踏めというのと、つま先を少し浮けろということとは同じことを言っているのである、この事を行える人はで体を運ぶことのできる人である。体の完全操作を会得した人であれば簡単である。(中略)踵を強く踏めというのは、踏み据える意ではない。踵を確に地につけよの意である、踵が上がって浮いていてはいけないというのである。

 

本当のナンバ 常歩(なみあし) (剣道日本)