ランニング 独学! 教科書、フォーム、意識、考察 etc

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

身体操作教本 「古武術『仙骨操法』のススメ」 赤羽根龍夫

全身を繋げるポイントは仙骨!身体をエマしてランニングフォーム改善!

  またも武術関連の身体操作教本の紹介となります。「仙骨」というキーワードで本を探すとどうしても武術に関連してしまうようです。しかし、自分にはその身体操作法がランニングにも活用できると読めてしまうのです。いや、数多くある「体幹で走る」などを謳っているランニング教本よりも深い内容で、よほど本書のような本の方が体幹活用に関して腑に落ちる解説がしてあると思います。
 見出しにコメントした「エマす」という表現は本書独特の表現で、本書においては剣道での身体操作の極意を言っています。部位や筋肉としては仙骨と大腰筋が絡んでくるのでやはり、効率的なランニングフォームのポイントになってくると言っていいでしょう。それにしても古流武術からの言葉「エマす」が、現代の若者言葉の感情をあらわす「エモい」と似ているところが面白いですよね⁉

それでは、本書よりの引用をシェアしていきます。

 

第1章「日本人の身体操作」より

2 日本武術の方本論

 力をいれない、重力に逆らわない、これらがそのまま武術の原理にもなっていることに、違和感を覚える方も多いでしょう。
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 戦うことの中で育んできた日本武術の”理”。逆説的なようですが、それは「相手より優れていること」ではありませんでした。
 ”自分自身を最大限に活用すること”だったのです。

 武術って対戦が前提で、「競う」=「相手より優れること」を目指すように思ってしまいますが、根本の思想は違うんですね。そのストイックさはやはりランニングに通じるものがあるわけです!

第2章 「古流剣術の身体操作」より

「足は親指、手は小指」とは、剣術、体術問わず古流武術で普遍的に用いられている要訣だが、これらは中心軸に近い側の指であり、ひいては末端から力を生むのではなく、体幹から力を生起せよ、という教えを意味している。とくに古流武術で言われているのが力はカカトから生む、という事。同様の事を宮本武蔵は「きびすを強く踏むべし」と「五輪書」に記している。手においては、柳生新陰流では”下筋(したすじ:小指から腋=脇へ至る、中段に刀を構えた時に下側にくるライン)を効かす”事が重要とされている。

 「きびす」って言葉は「きびすを返す(引き返す)」で聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。でも「きびすを踏む」とはあまり聞かないですよね。ランニングでいえば当然着地の瞬間の動作となるわけですが、「踏む」ということは踵から着地することではなく踵方向に力を持っていく(逃がしていく)動作になりますよね。何せ踵が浮いていないと踏めないです。ということはランニングでいえばフォアフット着地が前提となります。ヒールストライク着地を言っているわけではなさそうです。

第3章「最高の姿勢を作るー全身を繋ぐために①」より

練習7 腹式呼吸と骨盤底呼吸

吸気とともに下がる横隔膜に連動させて腹を膨らませるのが腹式呼吸だが、骨盤底呼吸は背骨にそって骨盤底にまで深く入れるイメージで行う。腹式呼吸に比べると外見上の腹の膨張~収縮の動きは小さい。横隔膜や深層筋群の活性効果が大きい。息を吐くときには仙骨を締め、肛門と生殖器の間くらいを上に締め上げるような意識で。

 この呼吸法は初めて聞きます。胸式と腹式以外にもあったんですね。ランニング中にも使えそうです!

 

第5章「いかに力を生み出すか?-全身を繋ぐために③」より

2.エマすー股関節の外旋

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 どうすれば、”足腰”の力が上半身にまで伝わるのでしょうか?
 それには、股関節を繋ぐのです。・・・股関節の外旋(両足を外方向に回す)です。
 外旋させると、股関節は”はまる”方向に作用します。これによって下半身と上半身は繋がるのです。
 ただしこの「エマす」操作は単純に両大腿骨を外旋させる、というものではありません。見た目にはそれほどの動きはない。「腰を落とす」ようにも映りますが、「エマす」とはそういう意味でもありません。
 「エマす」とは、非常に難しい言葉で、明確な動作定義が存在しないのです。だから感覚的に解釈するしかない。言い方を変えれば、この武術用語は感覚的にとらえられなければ意味がないから、明確な動作定義が存在しないのです。
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「扇をパッと開いた時にその力が”要”に集中するがごとく、中心に集まるイメージ」
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 足を外に回すのでも、膝を開くのでも、腰を落とすのでもないのです。この操作は”仙骨への集中”です。そのための方法の一端として股関節の外旋が用いられており、それをやわらかでバネのような膝をもって行なうから、わずかに開き、わずかにたわむ(腰が落ちる)、という結果になるのです。
 膝を開こう、腰を落とそう、と思ってこの操作をしようとすると、動きはまったく別物になります。

 本書のキモである「エマす」の解説です。具体的には脚の外旋と腰のたわみという外見的動作がありますが、あくまで「エマした」結果であり、意識して動作すると「エマす」ことができない…難しいですね。でもこの「エマす」がランニングの着地に活用できれば、力まずにストライドも出すことができそうです!

 

7.「腰を据えて」-腰と仙骨

 ・・・・館長は腰を捻らず仙骨をぐいと前に出していました。仙骨こそが身体の要である腰なのだ! 武術の極意は仙骨にあった。
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 仙骨を締める、とは、先に述べた”エマす”操作に他なりません。一見、動きとしてはほとんどわからないくらいの動きで、瞬間的に全身を繋げてしまう操作です。
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 館長の遣い方を実際に拝見し、ビデオを何度も繰り返してみるうちに、これもやはり腰の遣い方が極意であることに気がつきました。太刀を振った時、膝をエマすことで腰がわずかに沈み、扇が開くように外に向かって腰が開きました。それによって扇の要といえる仙骨に力がギュッと集まりました。そのことで足腰の力が一瞬に太刀先に届きました。
 エマすことで上半身と下半身を結びつけている深層筋である大腰筋が働いていたのです。極意の秘密はエマすことで働く大腰筋と仙骨にあったのです。・・・・

 ここで登場する「館長」とは、春風館という名古屋にある剣道の名門道場の館長です。本書では写真で何度か登場しますが、年配の方で筋骨隆々ではないのですが、とても強そうなのが伝わります。

 

第7章「”大きく速い”と”小さく強い”の実現」より

2.”繋がっている”ことの意味

 今さら言うまでもなく、誰もが全身は、物理的につながっています。しかし、物理的につながっているだけでは駄目なのです。繋げる、とはあくまでも機能的な意味合いの話です。
 ”ムチ”のように連動する身体、それが理想です。
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― 身体を”ムチ”のイメージをもって動かそうとすると、各関節を順番に(結果としてバラバラに)使ってしまう。しかし、実際の”ムチ”とは、全体が柔らかく繋がっていることにより、手元を動かす力が全体に渡って一気に「動き」として作用している。 ―
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 ポイントは同時に稼働することです。これが真の意味での”連動”なのです。

 この比喩も参考ななります。一つ一つの動作を意識するとぎこちない走りになることがあります。フォームを全体として映像的にイメージした方が力まないで楽なことがありますが、それがこの「ムチ連動=同時稼働」のことなんでしょう。

 

やはり本書も写真やイラストが豊富で文字だけよりもイメージが伝わりやすいので実際読むことをおススメします。あくまでタイトルにある通り古武術からの身体操作法の教本です。直接的なランニングの本ではありませんので了承ください!本書を読んで走ると気のせいか剣道の脚の運び方で、「メーン!」と言って走っている映像が一瞬頭に浮かびました…。

古武術「仙骨操法」のススメ 速く、強く、美しく動ける!