ランニング 独学! 教科書、フォーム、意識、考察 etc

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

身体操作教本「仙骨姿勢講座」 吉田始史 著

仙骨の方向を意識してランニングフォーム改善!

  またもや武道系著者の教本の紹介です。著者は合気道や剣道が専門ですが、その経験から運動基礎理論を提唱するなど武道にとどまらない、より普遍的な身体操作理論を築き上げています。その理論の中心となるのが、関節の可動域の使い方であり、その中でも普段意識しづらい仙骨の方向を意識することによって骨盤の股関節の可動域を調整し(基本的には締めて)姿勢の改善や効率的な身体操作を可能にするという内容です。
 ランニングの教本では、骨盤や股関節はよく登場しますが、仙骨が取り上げられることはあまりないように思います。本書を手に取ったのはその仙骨というキーワードが目に入り、どのような意識で姿勢を改善するのか、どのような健康法なのか気になったからです。が、読みすすむと仙骨はランニングフォームにも深く関わっていることが判明してきたのです。インナーマッスル(腸腰筋など)が効率的なランニングフォームには大事だとは言われていますが、インナーボーン(という言葉はないですが)までも大事だったとは!

 

それでは、ランニングフォームに関わると思われるポイントの引用をシェアしていきます

2時限目「仙骨と体の構造を学ぶ」より

仙骨で骨盤を締める、緩める

・・・・仙骨が締まる事で、骨盤を形成する左右の寛骨(かんこつ)間の距離は広がり、その分、骨盤下口の坐骨結節は狭まる。これが俗に言う「骨盤が締まる」という状態です。反対に仙骨が返れば「骨盤が広がる」状態になるのです。
・・・・
 この骨盤を締めるということは、決して難しいことではありません。あくまでも骨格と筋肉の構造上の問題ですので意識して動かすと簡単にできるようになるのです。
 また、この仙骨と骨盤の関係にとても関係が深いのが股関節です。仙骨を締めると股関節の状態にも影響を及ぼします。仙骨を返すと股関節は広がり、仙骨を締めると股関節も締まるのです。
 股関節が締まると、脚と骨盤、ひいては体の中心との繋がりが強くなり、しっかりと地面を捉えることができるようになるので、安定感がよくなります。

 この「仙骨を締める」というのが見えない部分の骨なので、確認しづらいですよね(本書ではもちろんイラストで説明されています)。著者は指導の経験上、仙骨を締める=「うんこ我慢の姿勢」と一言で表現しています。または「犬が尻尾をまく姿」とも言っています。自分としては、逆に腰をそった状態(仙骨を返す)から尾骨(下図参照)を地面に向ける感覚です。ここで、寛骨(かんこつ)とか普段聞きなれない言葉も登場したので、骨盤を構成する骨の部位の名前を復習したいと思います↓

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引用元:理学療法士が教えるボルダリングのための自宅トレーニング「骨盤、股関節」編

寛骨って上にある通り腸骨+恥骨+坐骨で、しかも実際は関節がなくつながっている一体の骨なんですね。それにしても見えない深層部位だけに仙腸関節とか坐骨結節(上記引用文に登場、図では書いてありませんが坐骨の一番下の部分で、何とハムストリングスがつながっているところ!ランナーとしては覚えておくべき部分です!)などは普段意識しない部位ですよね。
 

仙骨と股関節の外旋と内旋

 骨盤と股関節を結びつける靭帯が、股関節の外旋と内旋にも強く影響されることは、先程記しました。この靭帯は、股関節の外旋時には骨盤から遠ざかるように動きます。その結果、股関節の前側にある全ての靭帯が緊張し、そのため中殿筋や梨状筋などの緊張状態と拮抗、つまり釣り合う状態をつくり出します。こうなると結果的に骨盤と転子間の結びつきが強くなるのです。
 反対に、骨盤が弛み、大腿が内旋すると逆の現象が起きます。一部の靭帯は緊張しますが全体的には弛むのです。
 大腿を外旋させる効果としては、体の安定感を良くするということが上げられます。

 ランニングフォームの教本で「脚を外旋させて着地」と表現されるのを覚えていますが、骨盤(仙骨)を締めて安定させるという機能(理屈)もあったのですね!

 

仙骨と筋肉の使い方~伸筋と屈筋~

 筋肉は体を動かす方向性によって、伸筋と屈筋の二種類に分けることができます。おおざっぱに言えば、伸筋とは関節を伸ばす筋肉で、屈筋とは関節を曲げる筋肉です。
・・・・
 やはり、背中を中心とした伸筋を働かせた方が良いようです。止まっているときでも、動いているときでも背中を意識するべきなのです。
 これまでも仙骨から首の骨まで、背骨の状態、さらには背骨を支える脊柱起立筋などの重要性を説明してきましたが、仙骨を意識することは、より背中側に意識を持っていくためのポイントにもなるのです。
・・・・仙骨を締め、肩甲骨の間の背骨を窪ませる、首の後ろ固定の3点だけを意識することができれば、大した苦労もなくこの伸筋優位の姿勢が身に付くのです。
・・・・
 人間の体に屈筋よりも伸筋の方が数も量も多くあるということは、色々な動きも伸筋を優位に使うべきだと思います。
 体幹(胴体)で言えば、腹筋は「屈筋」で、背筋は「伸筋」です。

 俗に言う「背筋を伸ばす」ということが重要なんですね!今の子供たちは「背筋を伸ばせ!」と注意されることはあるのでしょうか?全世代がスマホを見る時代になり、より猫背がちなので大事な意識です。もちろんランニング中でも大事です!

 

仙骨で動きを導く

 私は人間の体を上半身と下半身に分けて考える場合、 一般に思われているような腰(へその周辺)から分けずに、股関節(場合によっては膝)から分けて考えています。両足股関節を繋いだ上半身と下半身を分ける境界線を「股関節のライン」、腰の辺りを「腰のライン」と呼びます。
 この「股関節のライン」の動きによって、人間の動作を分類すると、
1.股関節のラインから上半身を前後にしならせる動作
2.股関節のラインから上半身を左右に捻る動作
に分けられます。
・・・・
 腰のラインを使わない理由は、ここでも上半身と下半身を分けて、体をしならせたり、捻ったりすると動きの境目となる腰(腰椎)に最も負担が掛かり、痛めてしまう恐れがあるからです。動きの質としても、随分と違いが出てきます。
 この股関節のラインを有効に使うことも、仙骨の締めによって比較的簡単に実現できるのです。・・・・

上半身と下半身のライン、あまり考えたことないのでは?通常は、下半身は脚から臀部、上半身は腹筋からで、境目ラインは腰だと漠然と思っていますよね。ランニングフォームの意識でいえば、前傾姿勢や猫背にならないように姿勢を意識するときに腰を反らしがちでしたが、股関節ラインを意識したほうが確かに腰の負担が減り、長時間姿勢を維持しやすいです!

 

3時限目「仙骨で日常生活を楽にする」より

仙骨でつくる理想の歩行

 まず腰を反らせた状態で歩きます。
 腰を反らせた状態で歩くと歩幅や左右の足の間隔も広くなり、股関節が前へ動く角度も大きくなります。「歩幅が大きくなる」というと良いことのように感じられますが、それはつまり「腰の捻じれが大きくなること」を意味します。「腰が捻じれる」ということは、体の中に回転軸があるということです。体の中に回転軸ー捻れの中心ーがあるということは、右側が前に出ても、左側は下がっていることを意味します。前に進みたいときに、体の半分が後ろに向かって動いている、これでは非合理的で、疲れやすい動きとなってしまうのです。
 それに比べ仙骨を締めて歩くと腰の捻れが少なくなり、「歩幅」、「左右の足の間隔」共に狭くなり、「股関節が前へ動く角度」は適度な角度に納まります。
 そして歩くときは、腰を捻るのではなく、股関節の位置を前にだすように歩くと、より効率的な歩行になります。

 腰を反らして歩行(もしくはランニング)すると回転軸が体の中にできてしまう、これは回転する椅子で左右に交互に回転して前に進めない動作をイメージするとわかりやすいと思います。対して回転軸を外(左右の股関節)に交互に持っていくのは、脚を前に出して座ってお尻を使って前に進む動作をするとわかりやすいと思います(本書のトレーニングにも登場します)。

 

5時限目「仙骨のコツで運動能力を高める」より

走り方

 長距離走の場合、単距離やハードルと違い、膝を高く上げる必要がないので仙骨は締めた方がよく、これで足を股関節もより中心に引き寄せられるため力の集中が得られます。
 首の位置も身体の安定性を得るための最重要部位です。首を後ろに固定することによって、より筋肉の多い背中の方で体を支えて走ることになります。そのことが腹筋の無駄な緊張を取り除き、内臓の圧迫を避け、呼吸を楽にするのです。
 重心についても腹筋が緊張すると爪先ばかりにかかってしまいますが、仙骨を締め、首を後ろに固定することにより、内踝の下にくるようになり、体重を脛骨という太い骨で支えることができるようになるため、そのことが足底のアーチに一番無理なく体重をかけることにもなるのです。

この章では様々なスポーツやその動き(パンチや蹴りなど)への仙骨意識の応用が説明されています。その初めに走り方、しかも長距離走が登場します。逆に言えば、単距離やハードル走などを例にすると仙骨を返して股関節の可動域を大きする必要があるということでしょう。仙骨を締めてピッチ走で走ることが長距離の場合は効率的とういうことの理屈がわかりますよね!

  次の章では仙骨を意識するための10分間トレーニングメニューが紹介されて、最後に補講として「運動基礎理論」概論としてまとめがあります。
 ランニングフォーム改善のみならず姿勢や他のスポーツ動作にも有効な内容となっていますので、興味が湧い方はイラストなどでの解説もある本書の購入をお勧めします!

仙骨姿勢講座 仙骨の“コツ"はすべてに通ず