ランニング 独学! 教科書、フォーム、意識、考察 etc

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

身体操作教本 「重力を使う! 立禅パワー」 松井欧時朗 著

武術指南書からランニングフォームのヒントを得る!

 なんと、半年以上も記事をアップしていませんでした、反省…。
こんな時期ですが、転職したことによって中々ブログを更新する時間が取れなかったのです。ランニング自体は継続していますので、更新ペースは落ちますがブログも継続してまいります。

 今回もランニングに直接関係のある書籍ではありませんが、読んでみて、こういう身体感覚や意識も面白いなと思い、またいくつか紹介されているエクササイズを行ってみると、おや、ランニングフォームにも関係するかもと。そして、ランニング中にその感覚を意識してみると、楽に、しかもペースも上がったのです!
 武術系の指南書の中には、力まずに相手の力、または自分の体重を利用して身体操作することを勧めるものがあるので自ずと持久力と共に一定のスピードも必要となるマラソンランナーにはヒントになることが多いのかもしれません。

 

 それでは、ランニングフォームのヒントになりそうな部分をシェアしてみます。
(・・・・は中略です)

 

第1章:武術に伝わる不思議な力 より

 禅僧曰く「身体が空気の満ちたタイヤのようになればいいんですわ」「相手に押されたところが地面になればいいんです。そしたら相手は私ではなく地面を相手にしているんです」。この弾力と強さ。確かにそんな感触だ。

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禅僧はその力を「空気の満ちたタイヤ」と表現するが、私は自分の感覚を通して「ゴムまりの力」と表現しようと思う。

 ここは特にランニングフォームやその意識に響くとことろではありませんが、本書の主題であるトライポッド・メソッドという著者独自の方法論に行き着く前段となります。

 

第2章:トライポッド・メソッドとは? より

 つまり、普遍的に「正しい」フォームというのは存在しない。正しいフォームを身につけよう、というのは「だいたい正しい」フォームという程度のことでしかない。

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 「力=フォーム × 基礎体力」という式を使うとすれば、この「 × (かける)」の部分に本書は注目する。フォームと基礎体力を結ぶ部分に注目するのだ。
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フォームと基礎体力を結ぶ「 × (かける)」の部分とは「地面とつながるバランス」のことだ。
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 禅僧が教えてくれたゴムまりの力は、バランス力、地面とつながる力なのだ。

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そこで、この「ゴムまりの力」を人間に本来備わるバランス力の一形態と定義し、誰もが習得できるエクササイズとして体系化したものが、トライポッド・メソッドだ。

再読したときに気づきましたが、トライポッド・メソッドを学ぶことによって、武術であろうが、ランニングであろうが、フォームと基礎体力を結ぶ部分を強化することができるのだろうと想像できる記述です。さて、これ以降がポイントです!

 

第2章の続き:トライポッド・メソッドの3原則より

▼トライポッド・メソッドの原則①「もたれて もたれず」

 これがトライポッド・メソッドの核となる力を生み出す。・・・・自分の重さ自体が対象に伝わる力となるのだ。
 そして自分の重さを対象に伝えるには、対象との接触部分にもたれればよいのである。・・・・
 しかし、ただ相手にもたれてしまったのでは、その相手が力を抜いたときにバランスを崩して倒れてしまう。そこで、相手にもたれながらももたれない。これは、前にいる相手にもたれながら、後ろにも同程度にもたれるという感覚だ。
 これはまた、全方向にもたれるという感覚でもある。全方向にもたれたとき、結果として重心は真下に落ちることになる。どこかを押されながらも、それに関係なく重力を感じて鉛直下に落ち続ける、という表現もできる。

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「もたれてもたれず=全方向にもたれる=重心を真下に落とす」。これがトライポッド・メソッドの力の根源だ。後述する二つの原則は、この力を効率よく、できるだけ筋力に頼らずに対象との接触点に伝えるためのものだ。

  ここを読んで、これは初中級者向けのランニングフォーム教室などで、よく指導者から地面を蹴らないで前に倒れるように前傾姿勢を取り続ければ楽に走れると言われたことを思い出しました。さらに身体の真下に着地するのもよく理想のフォームで言われるポイントですよね。この原則①の「もたれてもたれず」の意識はまさしく理想的なランニングフォームを活用する大きなヒントになると思います!

 

▼トライポッド・メソッドの原則②「骨を通る力」

 一つめの原則、「もたれてもたれず」で生み出した力(=体重)を効率よく対象に伝えるための原則が、この「骨を通る力」だ。
 実験をしてみよう。割り箸を真ん中あたりでちぎれない程度に半分に折る。気の繊維でかろうじてつながっている状態だ。その先端を何かに当てて押してみる。普通に押すと、ただ折れた部分が曲がるだけで、先端の接触部に力は伝わらない。
 しかし力を入れる方向(角度)を工夫すると、折れた部分の角度が変わらずに先端まで力を伝えることができる。つまり、折れた部分で力が滞らないのだ。折れた部分に負荷が集中しないともいえる。
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・・・ある特定の方向(角度)にだけは、ほとんど筋力を使わずに力を伝達することができるのだ。
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 腕をまっすぐに伸ばして壁を押すと、腕は疲れない。通常「骨を通る力」というのは、このように関節を伸ばしきったときに簡単に感じることができる。しかし関節をまっすぐに伸ばした状態というのは、運動時においては固まってしまっており、変化に乏しく活用しづらいだろう。
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 この割り箸の実験で力と角度の関係を理解すれば、関節を曲げた状態でも筋力を使わずに力を伝達できるようになる。

この割り箸の実験も非常にわかりやすい例ですよね。武術指南書なので人間の動作では腕が登場してしまいますが、それを脚に替えると支持脚の力の伝達に有効なヒントになります。

 

▼トライポッド・メソッドの原則③「膨らむ力と縮む力」

・・・・この原則によって、力をより強く、あらゆる方向に同時に発揮できるようになる。
 ホースをイメージしてほしい。ホースは水圧が強ければ強いほど張りが強くなり、まっすぐに伸びようとする。この水圧、ホースをまっすぐに伸ばす力が膨らむ力である。
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 普通に「曲がるまい」と押される力に抵抗する場合との違いは、意識する力の方向である。押される方向に直接抵抗するのではなく、押される方向に関係なく前方向に力をだすことによって、伸筋の力などが動員されやすくなるのだ。
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 筋力を曲げようとする方向に使うのではなく、四肢の末端方向にまっすぐに、伸びやかに出すのだ。曲げる力(屈筋)ではなく、伸びる力(伸筋)を意識的に利用するともいえよう。
 わかりやすいので腕で説明をしたが、この力がより重要とされるのは、頭頂から足裏までの上下方向である。頭頂部を上から押さえつけられているように上方向に力を出すと、前から胸を押されても、後ろから背中を押されても抵抗力が増すことが実感される。これも鉛直軸に膨らんで(伸びて)いるからだ(同時に、縮む力も働いている)。
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 このように膨らむ力(伸びる力)、縮む力を利用すれば、崩れずに押し、引くことができる。

 膨らむ(伸びる)という力の出し方やホースのイメージも力まずに力を出すヒントになりますが、頭頂部を押さえられているイメージをもって逆に上方向に膨らむ(伸びる)力を出すとうのも新鮮な意識でした!ランニングフォーム教本では頭頂から上に紐で引っ張られるようにして猫背気味な姿勢を矯正するとは聞いたことがありますが、押さえつけられることにより抗う(膨らむ)感覚は初めてです!このイメージの方がランニング中に上に跳ねる動きを抑制できそうですし。

 

第4章:「ゴムまりの力」を考察する より

 地面にもたれる、というのは不自然な表現だが、地面に体重をあずける、と理解してほしい。ただ力を抜いてまっすぐに立てば地面に体重をあずけているので、ひとまずそれでいい。反対に、頭頂部にもたれる、というのもこれまたおかしな日本語だが、頭頂部に天井が触れており、その天井に圧力を加えるように押し上げるイメージだ。地面を踏みしめ、天を支える。これが上下の軸のメインとなる感覚だ。
 ただ、これだけだと軸の感覚は細い線ではなく、身体と同じくらいの太い丸太のようなものだ。そこに前後にもたれる力、左右にもたれる力が加わると、それらによって力の感覚が中心に集まり、細い一本の線となる。なぜなら、前後にもたれるということは、感覚として前と後ろを分ける面があり、同様に左右にも分けるラインがあるからだ。
 この前後左右からの力の分水嶺となる一本の線は、どちらから押されても強く抵抗できる中心のラインである。これがトライポッド・メソッドにおける軸の感覚だ。
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 トライポッド・メソッドでは、軸の感覚を「上下の力」と表現し、前後左右の力を生む根本的な力ととらえている。ゴムまりの力は球状に放出、収縮される力だた、この上下の力、すなわち立つ力が前後左右への力、動きの根本となるものである。

 「もたれてもたれず」+「膨らむ力と縮む力」=「軸」なんですね!しかもこの軸の感覚をもって推進力を生むという発想は力まないランニングフォームの基本意識とも言えそうです。

 

第5章:意識で引き出す身体の力 より

三つのスワイショウ、軸はどこか

  スワイショウという、腕を振るエクササイズがある(気功の練功法の一つだが、ここでは単なる身体運動として紹介する)。
 ここで紹介するスワイショウは、でんでん太鼓のように腕を回転させるものだ。両足を肩幅に開き、腰を回転させる力で腕を左右に振る。腕は力を抜いてダランとさせていればよい。
 回転をするとき3種類のやり方があるので、それぞれを試してほしい。

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  1. 「スワイショウ(表)」の動き:伸び上がる力で回転する。
  2. 「スワイショウ(裏)」の動き:沈む力で回転する。
  3. 「スワイショウ(中心)」の動き:前述の表と裏、両方の力が合わさった感覚を持つことが大拙。

ここで自分にとって、または初中級者にとっても参考となるポイントは、1.「スワイショウ(表)」の動きです。逆に2.はヒールストライクを誘導しブレーキがかかる例ですし、3.は回転する椅子で腰を回しているようになって推進力=ストライドを相殺させる動きとなります。また、このスワイショウは効率的なランニングフォームでの腕の振り方にもヒントを与えてくれます。

長くなってしまいましたが、特にこのスワイショウは本書ではイラストと共にわかりやすく説明されているので詳しくは本書を手に入れてください!

 

重力を使う!立禅パワー: 最強のバランス力を生む、トライポッド・メソッド