ランニング 独学! 教科書、フォーム、意識、考察 etc

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

身体操作教本 「筋力を超えた『張力』で動く!」 JIDAI 著

エネルギーの流れ「張力」を活用して楽に走ろう!

 緊急事態宣言が発令されてから交代勤務とか時短勤務となり読書の時間が断然増えましたが、逆にブログの更新は久々になってしまいました…反省。ランニング関連以外の本を立て続けに読んでいたからなのですが、今回紹介する本は直接ランニングに関連した本ではないものの、なかなかどうしてランナーには参考になる内容でした!

 著者はマイムアーティストでパントマイムを独学で学び独自の身体の使い方を究めた方です。なので陸上競技的な解説よりも舞踊はもちろん、武道に近い身体操作の具体例が多く登場します。でもそこが逆に市民ランナーの参考になる身体の使い方や意識の持ち方を学べる点でもあると思います。有名なランナーや監督の書いた本ですと本格的な練習法など成長の参考になることは多いのですが、目指すところがサブ3や4であったりして具体的メニューなども登場して市民ランナーにとっては必要以上のプレッシャーとなり精神衛生上良くない場合もあります。なので今回の本みたいに直接ランニングに関連しないスペシャリストの知識を活用して、いかに力まないで走れるようになるかを意識してみるほうが市民ランナーの本来の目指すべきところに近づくような気がします!

 

 それでは、本書の中からランニングのヒントとなるような箇所を抜粋してシェアしてみます。

 

第1章「エネルギーは身体のすきまを流れる」より

◎技術の向上とともに身体の質を高めるメソッド
・・・大事なことは、いろいろと違ったことをしていても"すべて同じこととして行うこと"なんです。そうしませんと、身体の土台の質が高まることはありません。競技技術の上手な人が、身体の土台の質が高いわけではないのです。ですから、反復練習で型を身体に覚え込ませるような意識でトレーニングすることは禁物です。それは感覚を遮断する行為です。反復練習をする際は、毎回新しいことをするように臨む必要があります。受信力・発信力を高めるとは、身体感覚を磨くことです。それがこれまでと違った上達の道を辿る力になります(ケガや故障もしづらくなります)。

 以前にベアフット(裸足)ランニングの教室に参加したときに「感覚」は感じることができないとわからない、「感覚=感じていることを覚(おぼ)える」ことだから、力んでいたり、筋肉や腱や骨格が固まっていて感じられなかったりすると感じることができないとアドバイスされました。なるほど、(力んだりしていて)感じることができないとランニングフォームを改善したところで意味ないんだな、いいことを言うなぁ、と思いましたが、まさにそのことが「身体感覚を磨く」=「受信力・発信力を高める」ことなんですね!

◎すきまを潰さずに動く
 さて、「エネルギーをどうやって流すか?」、言い換えますと、「溜まっている水をどう流すか?」ですが、エネルギーは身体のすきまを流れます。
 すきまといいますのは、代表は関節(縫合部も含めて)になります。骨と骨の間、つなぎ目というすきまですね。隣り合った筋肉同士の間にもすきまがあります。さらに靭帯同士、靭帯と骨の間、筋繊維同士、内臓(各臓器間)、気道、口腔、副鼻腔といったところもすきまになります・・・。
 ・・・・・・
 ・・・すきまを潰す行為が力み・緊張になります。すきまが多いと浸透力が生まれ柔らかい。すきまを潰してしまうと浸透力がなく硬い。
 物理的問題にも神経的問題にもアプローチして、すきまを潰さずに動けるようにする必要があるのです。

  この「すきま」というのは初耳で興味深い概念です。この「すきま」を感じるには身体感覚を磨く必要がありそうですが、まずは抜粋にあるように、「すきまは潰す行為」である力みをいれないようにして「柔らかい」身体操作を心がけランニングフォームを改善していきたいです!

 

第2章「『立つ』とは浮きつつ垂れること」より

◎逆方向のエネルギーで立つ
 ・・・立つという状態は決して止まっている状態ではありません。といって、それは常にバランスをとり続けているという意味ではなく、エネルギーが上方向と下方向へと常に流れ続けているという意味です。
・・・
 棒磁石をイメージしますと、わかりやすいと思います。真ん中からN極S極と別れていますが、その真ん中で切断しましても、またN極S極と別れますね。どこで切断してもそれぞれの断片でN極S極に分かれて常に完璧な棒磁石のまま。N極だけS極だけと一方向だけになることはありません。面白いですよね。

  ここでは「立つ」ということの身体操作(エネルギーの流れ)の例に取り上げられていますが、この棒磁石のイメージって、本のタイトルにある「張力」につながる、とてもイマジネーションが湧きやすい例ですよね。関節に潰さずに「すきま」をつくるのにも役に立ちそうです。

 

第3章「和の身体と西洋の身体、そのエネルギーの流れ」より

◎イン(内向き)とアウト(外向き)
和の身体・・・・・下へ / 引く / しゃがむ / 箸・茶碗
西洋の身体・・・・・上へ / 押す / 椅子 / ナイフ・フォーク

 この概念もとても勉強になりました。抜粋は最小限の箇条書きですが、座る動作や食器の例でもなるほど、感覚の違いがわかりますが、さらに本書内では西洋の身体の使い方の例として「パンチ」、和の身体の使い方の例として「突き」が著者の画像とともに詳細に解説されています。その解説のなかで特に勉強となったのは腕の付け根の概念の違いです。以前の身体操作教本でも腕の付け根は「肩」ではなく「胸鎖関節(鎖骨の付け根)」であり、そのことを意識すると腕がより上がるということは勉強しましたが、ここではさらに和の身体では腕の付け根を肩甲骨の下角(一番下)だというのです。なるほど、そう意識して動作してみると感覚が明らかに違います!

 

第4章「踏む力と、下丹田・中丹田」より

◎和と西洋が交互に機能する歩き方
 ・・・和の膝の動きは曲がる方向にありますから、自然と着地が柔らかくなります。サスペンション機能が働くわけです。一方、西洋の膝の動きは伸びる方向ですから、固くなり地面からの反力をしっかりともらうことができます。・・・

  前章に続く和と洋の身体についての解説の脚バージョンの章です。脚の付け根についてのコメントはありませんが、上記の歩き方の例はやはり勉強になります。ウォーキングでいえば、支持脚(着地)は和の膝(曲がる方向)、遊脚(離地)は西洋の膝(伸びる方向)になると思いますが、ランニングでは膝下は基本的に常に曲がっていて、しかも遊脚のほうが深く曲がるので、股関節と大腿骨が「曲がる方向=支持脚」「伸びる方向=遊脚」と意識するといいと思います。

第5章「肘・膝が、末端と体幹をつなげる」より

◎体幹で反力を受け出力を末端に伝える
・・・つまり、末端で受けた反力を体幹(対局の末端)で受けること、その受けの最終地点から末端へと力を伝えること、この二つのことが、同時に成り立つようにすることが重要なのです。一般的にはどうしても力を発すること(発信力)ばかりに意識が向いてしまい、力を受けること(受信力)がおざなりになりがちです。そこでキーポイントになるのが、肘であり膝になります。

◎膝下からパワーを通す
・・・力を発揮するといいますのは、筋肉を収縮させることではなく、骨を適切な方向に動かす・動かし続けることです。
 「肘からパワー」「膝下からパワー」をしますと、自然と肩・上腕周り、股関節・太もも周りの力は抜けるのですが、より抜くことで末端で受けた力・重さが肩甲骨あるいは骨盤を通りますと、体幹(特にお腹)と末端がダイレクトにつながってくれます。・・・

  この「膝下からパワー」ですが、ランニングの場合は着地時の意識にも有効です。どうしても着地の意識が接地面である足裏にいきがちで、よくフォアフット着地だとかミッドフット着地だとかを意識してしまいますが、やはり末端に意識がいくと無意識に力んでしまうので本書の表現でいると「すきま」をつぶしてしまいます。そこで着地の地面反力を「膝下」から受信することを意識すると力みを抑えることができて、脛(すね)が自然と跳ね上がって柔らかい動作を導けるように思います。

 

第6章「パワーとは、相反する力を同時に成立させる張力」より

◎遠心性と求心性の両立
 前章の末端と体幹のつながりのお話のように、力を発揮する、エネルギーを通すためには力を作用させたいところ(末端)と反力を受けるところ(体幹)が一体化しているほうが良いわけですが、言葉を替えますと、遠心性と求心性の両立が大事ということになります。

  本書のタイトルにもある「張力」の章となります。それにしても「遠心性と求心性の両立」ってランニングそのものですよね。まさしく支持脚と遊脚のことだと思います。

第7章「お腹の力は、足腰に力をいれないため!」より

◎エネルギーが通った四股立ち
・・・四股立ち、両脚を大きく開いて腰を落とした姿勢をとりますと、多くの方が大腿四頭筋にほとんどの負担を負わせてしまいます。身体の他のところはほとんど休んでいます。もちろんお腹も休んでいます。
 これは全くエネルギーの通っていない状態です。・・・
 そこで、股関節のすきまに目を向けます。・・・
 ・・・股関節のすきまを広げるようにしますと、・・・大腿四頭筋の負担が減ります。ハムストリングスが働くようになります。脚が軽く感じるかと思います。・・・これがエネルギーの通っている状態です。・・・
 ・・・股関節のすきまを作った四股立ちのときのお腹はどうですか?力が入っているはすです。けれど、力を入れたという意識はあまりないのではないでしょうか?・・・
 身体のすき間を作ってエネルギーを通すようにしますと、自然と必要な筋肉が必要な分だけ働いてくれます。・・・

  けっこう前の記事になりますが、「腰割り」の本を紹介したことがあります。ここでの「四股立ち」がいわゆる腰割りとほぼ同じです。その本では「正しい腰割り実践の十か条」で「股関節のゼロポジション」が挙げられていますが、それがここでいう「すきまを作る」ことなのでしょう。

www.running-form.info

  本書に予想以上に好奇心をくすぐられて、身体操作の奥深さを再認識することができたので、思わず読了後にDVDも購入してしまいました!

 DVDは基本的には本書で紹介された身体操作を映像で、著者であるJIDAI氏本人が実践し解説してくれています。やはり、映像のほうがイメージがつかみやすく実践はしやすいですね。本に比べると値段は張りますが、その価値はあると思います(セミナーなど行くことを考えれば安くつくと考えました)。しかし、本書を読まないでDVDだけ見ることはあまりお勧めできません。本書を読んで内容を自分なりに理解し興味が湧いてからイメージの確認のために購入するのがいいと思います。

 

筋力を超えた「張力」で動く!: エネルギーは身体の「すきま」を流れる!動きの本質力向上メソッド

 

身体エネルギーの再発見【張力の作り方】力を"すきま"に通し、最大化するワーク [DVD]