ランニング フォーム 改善! 骨盤 肩甲骨 姿勢 習慣 など

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

「EAT & RUN 100マイルを走る僕の旅」Scott Jurek, Steve Friedman 著、小原久典・北村ポーリン 訳

伝説的ウルトラマラソン・ランナーの自伝からランニングと食の哲学を学ぶ!

  本書は前回の記事「BORN TO RUN」の主要登場人物であるスコット・ジュレクの自伝です。「BORN TO RUN」でもスコット・ジュレクの人物像と生い立ちは紹介されていますが、本書は自伝ですので一人称で語られ、説得力があり詳細に語られています。21章からなる内容は基本的に時系列となっていて読み進めやすいです(BORN TO RUNはタイムラインが飛びまくっていましたが)。また、差し込みコラムでランニングアドバス(EAT & RUNコラム)とヴィーガン(絶対菜食主義者)料理の写真と紹介があり(巻末にはそれらの料理レシピまであります)保存版的な内容も盛り込まれています。

 「BORN TO RUN」がオールスター的内容であったのに対し、「EAT & RUN」はスコット・ジュレクを深掘りし、その中で(15章目で)「BORN TO RUN」の主内容であるレース「コッパーキャニオン・ウルトラマラソン」が登場します。また、巻頭にはカラー写真があり、タラウマラ族も写っています。先に「BORN TO RUN」を読んでおくと違う視点で内容がクロスオーバーして臨場感を増します!

 

 

 さて、その本書の本文中から著書のスコット・ジュレクがウルトラマラソンやヴィーガンにはまっていった流れや哲学の一部を抜粋します。

 

Chapter 2 「とにかくやるんだ」 ミネソタ州プロクター 1980年 より

 父さんは厳しいしつけを思いやりと遊び心で和らげた。例えば薪置き場に10分間でどれだけ薪を積めるか挑戦させたり、制限時間内にどれだけたくさん庭から石を拾い出せるかを競ったりした。そのときは意識しなかったけれど、競争原理を取り入れることで、どんなに厄介でつまらない仕事でも、面白くてやりがいのある仕事に変えられるし、それをうまくやり遂げれば、なぜだか幸せな気持ちが込み上げてくることを父さんから学んだ。

⇒レースに出ることに対して多幸感>緊張感となった体験だろうけどもご褒美がないところがピュアなところだと思います。ウルトラマラソンも都市で開催する大きなマラソン大会に比べて賞金など少ないのにそのウルトラ中心に活躍してきたのも頷けます。 

 

Chapter 4 「痛みは痛いだけ」 アドルフ・ストアの往復 1990年 より

 指導者からたくさんのことを学んだのと同じくらい、あるいはそれ以上に、食事どきにも多くのことを学んだ。キャンプでは野菜のラザニア、あらゆる種類のサラダや焼きたての全粒小麦パンが出された。・・・・
 でも選択の余地はなかったので、しかたなく出されたものは何でも食べた。すると信じられないほど美味しかった。しかも驚くことに体調がすごく良くなった。僕はキャンプで今までやったことがないくらいトレーニングした。それなのにこれまでより体調がよく、力がみなぎっていた。これは食べる物に関係しているのではと思ったけれど、そのことを理解するのは、後年、食事を運動、栄養と健康の関連性について勉強し始め、アスリートに限らず万人にとっての食事の重要性を学んでからのことだった。

⇒ヴィーガンになるきっかけの一つとなった体験談。宗教的な信条などからではなくレースでの体調管理や反応からヴィーガンに徐々になっていた過程が記されています。 

 

Chapter 11 「小便してるか?」 ウェスタンステーツ100 1999年 より

 自分の背負った荷物を下して軽くすることもできるし、そうしないでもっと努力することもできる。明日のことを心配しなくても構わないし、ひどい不運を想像するのも輝かしい明日を想像するのも自由だ。動いている限り、そんなことは問題にならない。何かしている限りは大丈夫だ。「どうして?」と自問するのもいいけれど、それは行動じゃない。走ること、動き続けることで得られるものは他の何にも代えがたい。
 とにかくやるんだ。

⇒ 前の章で父親からよく「とにかくやるんだ」と言われて育ったとの記述があったのだけど、このように自分なりに解釈し身につけてくところは本当にピュアだと思います!だけどもその父親とは後日確執が生じてしまうのです(そのへんは本書をお読みください)

 

Chapter 18 フェイディピデスの足跡を辿って スパルタスロン 2007年7月 より

 最後には、このような怪我に感謝するべきだと自分に言い聞かせ、そもそもウルトラマラソンをなぜ走っているかを思い出した。最高記録を出すためではなく、単純に物理的に楽しみのためでもない。もっと深くにある何かのためだった。100マイル走るのは、体が壊れ、精神が破壊される寸前まで追い込むことで、意識が変容状態に入れる領域に辿り着くためだ。もっとクリアに世界を見るためだ。ぼくのヨガの先生が言うように「怪我は最高の先生なのだ」。
 ウルトラマラソンを走る人々の多くは、精神安定剤を摂るのと同じ理由で走っていると思う。もちろん、走ることによって得られる友情や達成感や自然を身近に感じることが重要じゃないと言っているわけではないけれど、遠くへと長く走れば走るほど、僕は自分が追いかけているのが精神的な状態 ー 決してなくならないと思っていた心配事も消え、時を超越した美しい宇宙と今という瞬間が鮮明に見えてくる状態 ー だったんだと気づく。こうしたヴィジョンを得るため走り始める人はあまりいないと思う。少なくとも自分はそうじゃなかった。でもウルトラマラソンをある程度真剣にやっている人なら、きっとそこに行ったことがあるはずだ。そこに辿り着いたときに、ヴィジョンに気づくことがポイントだ。骨折した足指のおかげで、僕は気づくことができた。

⇒いわゆるランナーズハイの状態のことでしょうか。自分はまだ体験したことがないのですが、フルマラソンではなくウルトラを走らないとその領域には到達できないのでしょうか…。 

 

 次に、本文とは別に章の合間に挿入されているランニングのティップス的なコラム(全14)からの抜粋です。

EAT & RUNコラム3 頑張らずに、よりやさしく より

 さて、肝心な部分だ。ストライド率が85~90になるまでスピードを上げてみよう。ランナーが最もよく犯す間違いは、ストライドが大きくなり過ぎることだ。ゆっくりした大きな歩幅で、踏み足をはるか前に突き出し、踵から着地する。こうすると接地時間が長くなり、踵が着地の瞬間に地面を強く打ち、関節に大きな衝撃を与える。ストライド率が85~90になるようにトレーニングすることが、この問題を解消する最も近道だ。短く軽い素早いステップが、着地の衝撃を軽減して長く安全に走り続ける秘訣だ。

⇒ストライド率85~90とは1分間に170~180歩のピッチということです。効率的なランニングフォームの定石ですね。 

 

EAR & RUNコラム4 着地点 より

 大切なのは、足のどの部分で着地するかではなく、どこに着地するかだ。体の重心の真下がそのやや前で着地するのがいい。もし足の回転が速く重心の真下に着地するのなら、たとえ踵着地でも激しく地面に叩きつけるような走りにはならないだろう。

⇒「たとえ踵着地でも」と表現していますが、体の真下着地でピッチが170以上であれば踵からの着地はあり得ないですよね。

 

EAT & RUNコラム7 上達するには より

 そこでまず、LT(乳酸分岐点)レベルの運動量を5分間続ける。その後、一分間ゆっくり走って体が回復する時間を取り、またそれを繰り返す。慣れてきたら走りと回復のインターバルの回数を増やし、5対1の比率を維持しながら距離を延ばすといい。つまり10分間全力で走ったら2分流す、または15分の全力走と3分のスローダウンという具合だ。
 4~6週間もすれば、この全力走レベルの運動を45~50分間続けることができるようになり、スピードもついてくるだろう。

 ⇒ウルトラマラソンランナーといえども、やはりインターバルトレーニングでスピードを上げていくのですね。

 

EAR & RUNコラム11 裸足の真実

 裸足(ベアフット)あるいは最低限の(ミニマル)シューズで走ることの素晴らしさは、体の自然な自己受容感覚、つまり空間の中で自分のポジションを感じる能力を使って動くことにある。・・・・シューズを履いていても素足でも、肝心なのはフォームに注意を払うことだ。裸足で走ることがそれを容易にするのなら、やってみる価値がある。
 ・・・僕はのんびりランニングの日や、トラックでの運動のあとのクールダウンのときに、トラックの内側や公園で3~5キロ裸足で走るようにしている。
 ゆっくりのんびり始めるということ以外に、大事なことを二つ覚えておいてもらいたい。まず効果を上げるのにいつも裸足で走る必要はない。そして完全に素足で走る必要もない。ミニマル・ランニングシューズやレース用の底がフラットなシューズで走っても、裸足で走るのと同じ種類の感覚が得られるし、フォームを矯正するのに役立つ

⇒やはりベアフットもしくはベアフット系シューズで走ることはランニングフォームの改善に強制的に役立つのですね。

 

EAR & RUNコラム12 姿勢

 前屈みの姿勢で腰は立てる。頭からつま先まで棒が通っていると想像しよう。その棒が地面から心持ち前傾するように保ち、骨盤はまっすぐに。全身がうまく使えると、重力を利用した走りができる。ランニングがコントロールの効いた落下だということを忘れてはいけない。

 ⇒アメリカ発祥のランニングフォーム理論であるPOSE RUNNING METHOD(ポーズランニング理論)でも重力の利用や自重落下が強調されていますが、「コントロールの効いた落下」という表現は著者独自の表現でより分かりやすいと思います。地面を蹴らずに脚は適正な姿勢によって自然と着地させることが「コントロールの効いた落下」でしょう。

 

 本書(翻訳版)は2013年に発行されていますが、最近(2019年)、ランニング雑誌の「ランニングマガジンcourir」(2019年10月号、8/22発売号)の記事で日本人(石川佳彦 選手)が世界三大ウルトラレース(2017 24時間走、2018 スパルタスロン、2019 バッドウォーター)を制覇していることを知りました。しかも直近の2018 バッドウォーターでは以前の大会記録を23分も上回るコースレコードでの優勝なんて、凄すぎます!

 
 

 

EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅