ランニング フォーム 改善! 骨盤 肩甲骨 姿勢 習慣 など

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

ランニング教養本:「金栗四三の生涯走れるランニング術」本条 強 著、「ランニング」金栗四三 著・増田明美 解説

ランナーなら知るべき「ランニングの神様」、「マラソンの父」、金栗四三さんとは!

  箱根駅伝での「山の神」という言葉は耳にすることがありますが、その箱根駅伝の創始者である「ランニングの神様」、「マラソンの父」という言葉は今まで聞いたことがなかったですし、大河ドラマ「いだてん」の前までは「金栗四三」の名前も聞いたことがありませんでした。
 自分はあまりドラマ好きではないので(映画はよく見ますが)、今回の大河ドラマも初回くらいは見ましたがその後は見てはいませんでした。が、主人公が金栗四三という日本で初めてオリンピックに出場したマラソン選手であることはドラマのふれこみで知りえました。
 その後、本屋のランニング関連本棚に「金栗四三の生涯走れるランニング術」を見つけ読んでみたら、なるほど「ランニングの神様」と呼ばれるのが納得!またさらに興味がわき、続いて金栗四三本人が著者である「ランニング」も一気に読んでしまいました!
 この2冊の本は、自分のように先に「金栗四三の生涯走れるランニング術」を読んでから「ランニング」を読むのがおススメです。というのも「ランニング」は大正5年に刊行された本の新装復刻版であり、文体は当時のもので解説はあるものの前知識がないとやや読みにくいからです。先に金栗四三さんの人生や教えを解説してある本を読んでいたほうが、文体が古くとも本人の書いた内容がスーッと頭に入ってくる感じがしました!

 

 ということで、まず先に「金栗四三の生涯走れるランニング術」を紹介します。著者は本条強というスポーツライターで、本文中に著者がインタビューした解説者としてマラソン選手やコーチである君原健二、瀬古利彦、金哲彦、弘山勉、有森裕子が登場します。
 目次は以下となります。

序章 「ランニングの神様」、その走りの教えは貴く永遠である
第1章 健康な体は走ることから。 子供の頃に培った脚力
第2章 東京高等師範に入学。 徒歩部で鍛え、オリンピック予選で優勝
第3章 日本人としてオリンピックに初出場。 マラソン競技で奮戦
第4章 オリンピックの雪辱を果たすため、金栗が考案した練習法
第5章 マラソン強化に駅伝を考案、日本横断、縦断マラソンも実施
第6章 自分の経験を理論構築した体に優しいランニング
第7章 ストックホルムオリンピックで完走。 80歳を超えても元気に走る
第8章 東京オリンピックと金栗におけるオリンピック
終章 金栗の信条「体力、気力、努力」とマラソン十訓

  基本的には、金栗四三氏の時系列の伝記で、その合間に瀬古さんや金さんの著者の取材によるコメントが入る形式です。また第6章は次に紹介する金栗四三著「ランニング」の内容が引用され分かり易く解説してあります。
 金栗四三著「ランニング」の最後の章では自分の経験から主観的にマラソンを始めたきっかけや初期の頃に競技に参加したことが記されていますが、本書を先に読んでおくとその点も当時の写真なども掲載され客観的に解説されていて、「ランニング」を読むときに臨場感が増します。

 

  第8章には事件自体(1964東京オリンピックの銅メダリスト円谷幸吉の自殺)は悲劇ですが、金栗氏の感動的なコメントが紹介されていますので一部抜粋します。

 円谷は金栗を描いた本、「走れ二十五万キロ」を読んだことでマラソンを始めた。新聞のインタビューで次のように答えている。
「決めたことは実行するという先生の哲学を本から見つけ、苦しいときはいつもこの本を思い出すようにしています。あの本からマラソン、いや人生のすべてを学びました」
 金栗は円谷の自殺を知り、長いこと瞑想に耽っていたという。
「自分は五輪で敗北したあと、死んでお詫びをいたいと思った。しかし、死は易く、生は難い。敗北の恥を忍んで、粉骨砕身、マラソンの腕を磨くとともに、マラソンの復興発展に尽力しようと考え、これまで生きながらえてきました。そのように円谷くんも思って欲しかった。誠に哀しくて残念です」
 円谷のメダル獲得は日本マラソン史において特筆すべきことである。その偉業をなした円谷は決して死んではならなかった。金栗から人生のすべてを学んだというのなら、死を選ばずに、生きて人の役に立って欲しかった。

 

 終章から金栗氏の信条の紹介です。

走れば体が強くなり、健康になる。それだけで幸せな人生が送れるのだ。

 金栗は厳しい人だったが、とても優しい人だった。
 私利私欲がなく、人生のすべてをマラソンに捧げた。
 その笑顔はお釈迦様のようだと言われ、子供たちは金栗の走る後を追いかけ、若者たちは金栗扇に負けられないと頑張った。
 その金栗の信条は「体力、気力、努力」である。
 金栗のお墓にある石碑にもこの言葉が刻まれており、後進にはこの言葉を以て指導していた。

 ■体力、気力、努力
 マラソンは42キロ以上を走る競技であるから、人並み以上の『体力』を必要とし、その上に必ず最後まで走りきるという『気力』がなければならず、さらにどんなに苦しくとも我慢するという『努力』がなければならない。
 これは単にマラソン競争に限ったことでない

 まさにその通りである。マラソンだけでなく、仕事にも、ひいては人生そのものに役立つ言葉である。
 まずは『体力』をつける。『体力』があれば『気力』が湧いてきて、『努力』ができる。
 そして最も大事で最初に必要な「体力』は走ることによって養うことができるのだ。
 だから、誰でも、走ることだ。

 まず気力ありきではないのか?と思ってしまいますが、体力⇒気力⇒努力の順番というのは読んでみて納得しました。前の記事「人生を変える筋トレ」で指摘されていますが、運動をすることによって「やる気」ホルモンが分泌されるとうい事実を金栗氏は体験的に知っていたのでしょうね!

www.running-form.info

 

 さて、次に金栗四三本人が著者である「ランニング」というズバリのタイトルの新装復刻版を紹介します。
 刊行されたのは、金栗氏が25歳の時の大正時代なので文体は古いです。本書では本文下の欄に英単語の訳みたいに古い言葉遣いの説明があります。例えば、↓

吾人(ごじん):われわれ
駆歩(くほ):かけあし

この2つの言葉は最頻出なので覚えるしかないです。次に目次です。

総論
一、心身と駆歩との関係
二、飲食物
三、休息、睡眠
四、服装
五、入浴、冷水浴
六、補助運動
七、故障一般
長距離駆歩について
一、身体の姿勢
二、練習の時期
三、競争および応援
四、長距離走の所感

  25歳が書いたとは思えない体系的かつ体験的なランニング教本であるばかりか、一般的な人生訓でもあります。

三、休息、睡眠 より

 さて朝になって目覚めてから布団の中で雑念にふけって、いつまでも起き出ずもじもじしているのは最も悪い。
 一度目を覚ましたならば、少し早くとも男らしく起き出た方がよい。冬などはことによい気持ちで目覚めながら布団の内の空想は、よくやるものであるが最も新鮮な頭脳を雑念にふけらすのは、精力経済上最も忌むべきではないか。

 

 本文は昔の文体であるために堅苦しさがありますが、ほぼ一つの章ごとに差し込まれる増田明美さんのコメントがそれを和らげてくれます。

増田ノート 「休息、睡眠」について① より

  書画や音楽などで心を落ち着かせることの重要性をこの時代に説いていたのにもビックリです。マラソン選手は試合前に音楽を聴くことが多いんです。高橋尚子さんはシドニー五輪の時にhitomiさんの「LOVE 2000」を聴いてリラックス。野口みずきさんは普段からR&B系の洋楽が好みです。ちなみに私は「天城越え」でしたね。女の情念が湧きあがってくる感じで坂道なんかグイグイ登っていましたよ。

 

 何と、これからランニングを始める人にも焦点を当ててくれているのはビックリ! ウォーキングから始めて徐々に走るという現代の入門書でも勧めていることを100年以上前に25歳の金栗氏が具体的な数値とともに記してあります。

二、練習の時期 イ、春期の練習 より

 いよいよ以前よりも歩行力が強くなってきたと思えば、徐々に目的たる走ることに移っていく。その走る練習も、できるなら、毎日やるがよい。時間で言えば一里(3.927㎞)を約二十五分以内くらいでよい。初めは半里くらいから始めて一日二日と次第に心身が具合よくなるにつれて距離も一町、二町(1町=109.09m)と延長していくのである。

  一里25分ということはキロ6分強です。ウォーキングで基礎体力をつけた後にそのペースで2キロ弱(半里)から始めて徐々に距離を伸ばしていけとかなり具体的!

 

 ランナーであれば納得のあるある的なコメントもあります!

二、練習の時期 イ、夏期の練習 より

 吾人夏期休暇を無為に過ごさず、旅行なり労働なりに費やすべきだがまたこの駆歩練習に使用するのも最適を得たことでこの間は全力を駆歩に傾注すること便利があって、吾人の経験ではすこぶる有効である。

  夏休みや正月休みにここぞとばかり毎日のように走ってしまうランナーも多いことでしょう… 旅行行くにも混んでいて旅費もバカ高いですしね!

 

二、練習の時期 へ、練習の相手 より

 速い人と練習する時は、この人は自分より速いから到底ついて行けないと諦めず、何この人くらいに負けるものかとの大勇猛進を起こして、しっかりやる覚悟が必要で、やってみるとあるいは自分が速いかもしれない。吾人は常により強い人を目標としてこれを超そうと努力せねばならない。この努力が今の人には少ないようだ。             

 本当にそう思います!自分より速い人をまじかで見ると「体力や走りこみが違うから…」とあきらめがちですが、フォームや走り方に必ずヒントがあると思います。
 しかし、「今の若いもんは…」的なコメントは100年以上前からの常套句なのですね!

 

金栗四三の生涯走れるランニング術

復刻新装版 ランニング