ランニング フォーム 改善! 骨盤 肩甲骨 姿勢 習慣 など

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

身体操作教本:「イラストでわかる疲れないカラダの使い方図鑑」 木野村 朱美 著、イラスト 中村知史

アレクサンダー・テクニークで力みを取り除くコツを学ぶ!

 本書はランニング関連本ではありませんが、タイトルにある通り「疲れないカラダの使い方」を学ぶことは、もちろんマラソンのように長い距離を走るには役に立つはず。ということで読んでみましたが、やはりランニングに応用できる知識がありました!

 本書は「アレクサンダー・テクニーク」という技術がベースとなっていて、著者はその技術の専門教師と紹介にあります。その技術の紹介を本書から抜粋してみます。

本書のベースとなっているのは、100年以上前にオーストラリア人の俳優フレデリック・M・アレクサンダー氏が考案したカラダの使い方の技術「アレクサンダー・テクニーク」という理論です。
 声が出なくなるという不調に悩まされたアレクサンダー氏が、無意識に働く筋肉の緊張を発見し、それを取り除くことに成功。それで声が出るようになったことをきっかけに、その技術はあらゆる不調にも適応されるようになりました。

  この技術を学んだ有名人として、ポール・マッカトニー、スティング、キアヌ・リーヴスが紹介されています! そういえば、スティングがスランプに陥って曲が書けなくなったときに、声も出なくなったとドキュメンタリーで言っていたような気がします...。実はこの技術を学んで復活したのかな...?
 上記有名人の共通項は声を出す仕事ですが、技術の誕生した経緯を知れば納得です。しかしその技術をカラダ全体(あらゆる不調)まで応用させるのがすごいところ、というか不思議なところです。技術の生みの親であるアレクサンダー氏が声が出ない原因として気づいたのは、首の後ろの筋肉の緊張だったと本書には書いてあります。多分、首の後ろの緊張を解くにはその部分だけでなく、全身のバランスに関わる姿勢など、他の部分の力みも解く必要があったのでしょう。
 ググってみると「日本アレクサンダーテクニーク協会」のウェブサイトがありました。知らなかったですが全国に教室があります。応用範囲が広い技術のようですが、体験記を見るとやはり音楽に関係した人(発声や楽器演奏者)が多いです。その中でも「走ると空をとんでいるようになる」との感想がありました。大げさに言っているとは思いますが、やはりランニングにも有効なのでしょう。

 また本書の特徴として特筆すべきは、タイトルにもありますが、豊富なイラストです。これが単なるイラストではなく、どれも味があって引き込まれます! amazonでイメージ画像があったのでその2点のみ紹介します↓

 

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プロローグより

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第2章「自宅でのしんどい動きをラクに変える」より

 

 それでは、ランニングに役立ちそうな部分を抜粋してみます。

気付いていない部位は使えていない?

 ・・・思い込みによる誤認識のある部位は「気づき」がない限り、無意識の中に沈んでしまい、使うべきときにうまく使えていない場合がほとんど。・・・
 たとえば呼吸をするとき、肺いっぱいに息を吸い込むとすれば、多くの人は胸の前あたりを意識するもの。しかし、肺は実際には肋骨いっぱいに広がっていて、背中まで息を取り込みことができます。胸の前だけを意識して呼吸すれば、浅い呼吸になり、リラックス効果が薄まったり、本来の機能を使い切らずに終わってしまします。

  この背中まで息を取り込む呼吸は以前の記事でも出てきました。「背骨から自律神経を整える」というタイトルの健康法教本です。そこでは以下のように呼吸法が説明されています。

私は胸郭が固い方には、腹式呼吸と胸式呼吸の両方を行う「連続呼吸」を勧めています。腹式呼吸で心身をリラックスさせ、次に深い胸式呼吸で肋骨を広げると、横隔膜と胸郭全体が動き、交感神経と副交感神経のバランスが整うからです。

 腹式呼吸について勧めている教本は多いですが、胸式呼吸について説明している教本は少ないと思います。本書の著者のいう通り「気づき」で意識的に横隔膜や肺(胸郭)を動かしてみると自然と姿勢も整うように思います。

 

体の運ぶべき「方向」を意識する

 方向の無駄力とは、本来動かすべき方向とは違う方向に力を向けてしまい、カラダを効率よく使えていない状態のことです。
 たとえば、歩く動作の場合、カラダを運ぶ方向は前です。ですから、カラダの力のベクトルに向けるのが本来の形であるといえます。しかし、このときに足音が大きい人をよく見かけると思いますが、そういう人の足の力は下方向に向かっています。歩くときはスタスタと前に足を運べばいいわけで、下に向かって強く踏みしめる必要はありません。この方向が一致しない余計な力みが「方向の無駄力」なのです。

 この意識はもろにランニングに関連します。初心者の場合は下方向に余計な力を使っていることが多くスピードダウンばかりか故障につながっている場合が多いと思います。 もちろん着地がありますから下方向への力はゼロではありませんが、この下方向への力のベクトルは最小限にして、ベクトルを前方向に切り替える意識をもつことが大事です。他の教本でも指摘されている通り、着地直後(ランニングでは着地とほぼ同時)にカカト方向へ荷重を持っていくことによって前方向へのベクトルにすることです。

 

重要ポイント:カラダを折り曲げる部位、お尻の「ビッグマウス」とは?

お尻の筋肉を見ると、脚の骨のスタート部位(大転子)の高さに「大きな口」のような付き方をしている部位がある。これを「ビッグマウス」と呼称しているが、カラダを折り曲げるために適した形状をしている。

  この「ビッグマウス」を活用する「気づき」は本書のキモです。本書では日常の動作(しゃがむ動作)で活用することを勧めていますが、それ以上にランニングにも活用できます。
 ランニング教本に「前傾姿勢」が登場することがよくありますが、間違った意識で前傾しようとすると猫背となりフォームが崩れてしまいます。そこでこの「ビッグマウス」を意識してみると姿勢を崩さずに適切に前傾姿勢ができると思います! 自分の感覚では前傾姿勢というよりは「ビッグマウス」を意識することによって離地した脚を上げる動作がスムーズにできるようになった気がします。コツは「ビッグマウス」を活用すると言っても「力む」ことではなく、「そこから自然に動かす」という意識です。お尻の筋肉って大殿筋が表層にあるので、この「ビッグマウス」に気づきにくいのでしょうね。
 前屈でビッグマウスからカラダを折り曲げる意識を持つとその効果が分かりやすいです。腰からカラダを曲げる意識だと前屈しても手が地面に全然届きませんが、ビッグマウスからカラダが曲がる意識だとペタリと地面に手がつきます!本当に驚きました!

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お尻のインナーマッスル

 

日常をラクにする4つの基本

基本1:座骨は股の間
座骨は左右の股の間、かつお尻側でなく前にある! 
基本2:お腹の真ん中に背骨
カラダを横から見ると、背骨は腹部のほぼ中心を通っていることがわかる。つまり、坐骨を土台としカラダの中心部で上半身を支えるイメージが正解!
基本3:飲み込むところ(食道)のすぐ後ろに首の骨
基本4:頭をふんわりのせる
坐骨、背骨、首の骨という基本の3つからなる積み木の上に、頭を「ふんわり」のせてソフトにバランスをとるイメージを持つこと!

  これらの基本は、まとめてみるとカラダのセンター(脊椎)の前後の位置の気づきだと言えます。センターは左右でいえば真ん中を通っているのは気づきがなくとも分っていますが、センターの前後の位置は無意識に後ろよりにあるとイメージしてしまうことが多いようです。このセンターの前後の位置に気づくだけで姿勢が整います。特に座っているときに坐骨の位置に気づくと猫背が改善されます。その土台(センター)の上に頭をふんわりとのせると肩こりが改善されます。
 頭をふんわりとのせるコツは、土台である背骨の位置(センター)を整えたうえで、頭を左右前後にストレッチして首の力みをなくすことです。

 

 

しんどい01:靴下をはく

靴下をはこうとすると、頭で靴下を迎えに行ってしまうのが不安定の原因。まずは、坐骨に頭をふんわりのせるイメージをつくり、さらに軸足を決めてそこに頭をのせます。必要な分だけ腰をしならせれば靴下に手は届くので、よりバランスが安定しやすくなります。

  立ったまま靴下を履くときにふらついてしまう原因が上記の頭の位置であることに気づいてからは、ふらつかなくなりました。意識しているのは1点のみです。頭を下げて下を覗きこむような姿勢とらず、なるべく頭を立てたままで視線だけ落として手元をみるようにするだけです。それだけでふらつかなくなります!

 

 カラダの悩み01:肩こり

1.頭ふんわりの基本姿勢を整える

胸骨に両手の4本指を当てる!(背中側の肩甲骨は外側に開く!)

2.肋骨を指でなぞって胸を開く

4本指で肋骨~鎖骨~肩に向かって大きくなぞり、胸を開く!(肩甲骨は内側に寄せる!)

 頭ふんわりの姿勢を整えたうえで、「肩や腕、肩甲骨は思っている以上に動くもの」だということを思い出しましょう。そのために、胸を大きく開き、胸骨を中心に、肩や腕を円錐状の軌道で大きく回します。小さく縮こまった筋肉を解放すれば、血流改善につながります。

  ランニングのストレッチでもある肩甲骨を動かす動作ですね:手を鎖骨あたりに置いてヒジで円を描くようなストレッチです。ここで紹介されているストレッチでは手を固定せずに肋骨をなぞるのでよりダイナミックに肩甲骨が動くを思います。

 

カラダの悩み02:腰痛

 頭ふんわりの姿勢をつくり、ビッグマウスの位置に触れて「カラダを曲げるのはココ」と意識します。さらに、背面の緊張によってつまってしまった背骨をゆるめるために、腰をしならせて脱力。腕や頭の重みで背骨の間が伸ばされ、縮こまった背骨をリセットします。

  いわゆる前屈の姿勢で脱力するイメージです。決して腰からカラダを曲げるイメージではなく、より下の方のビッグマウスから曲げる(ビッグマウスを伸ばす、弛める)ことを意識します。カラダが曲がる位置が下に移動するので自然と手の位置が地面に近づくことでしょう。地面に手をつこうを力むとビッグマウスの脱力を妨げるので腕も脱力しておいたほうがカラダが曲がります。

 

カラダの悩み06:目が見えづらい

1:基本姿勢を整えて胸を開く

頭ふんわりの基本姿勢、指で肋骨をなぞり胸を開く!

2:耳の横に手を持ってきて手が見えるように文字を見る

文字を見ながら目の横に置いた指も見えるようにする!(周辺視野がよくなると、近くも見やすくなる!)

 実は眼球は柔らかいもの。目をすぼめて力を入れると形が変わり、逆に見えづらくなります。また、目の周辺を含む頭部の筋肉の緊張をほぐすために、胸を開いてリラックスするのもおすすめ。周辺視野を広げることも、目の機能を効果的に利用するには有効です

  マラソンのときに、特に後半に姿勢が崩れる要因として視線が足元に落ちてしまうことがあります。気づきの基本である頭ふんわりを意識して、周辺視野を広げるようにすれば、その姿勢の乱れを予防できると思い抜粋しました。

 長くなりましたが、以上で紹介を終わります。本書のイラストは本当に味があるのでぜひ本書を手にとって楽しみながら日常の動作を改善に臨んでください。もちろん初中級ランナーも参考になるはずです!

 

 

イラストでわかる疲れないカラダの使い方図鑑