ランニングを習慣にすると自律神経が整う⁈
成功体験本の類を読んでいると残業や休日出勤、飲み会は断って自己啓発に励みなさいとかのアドバイスがあります。社風やその部署の上司にもよりますが、現実は中々そうはいかない人も多いと思います。それでも週に何回かは、なるべく早めに会社を出るとか休日出勤しても振替を取るようにするとかは意志があればできるでしょう。
私も(中間)管理職になって15年くらいになりますが、以前は部下がほぼ帰るまでいるのが責任のある上司だと自分で勝手に思い毎日残業したり、休日出勤しても振替を取れないと思っていた時期がありました。
しかし、ランニングを始めて、マラソンに挑戦するようになってからは徐々にそのスタイルは自然に変わっていきました。まず週に2回ほど会社近くのジムに通うようになり、定時ではないですが、普段よりはやや早めに部下を残して会社を出るようになりました。また出張時を除いて同僚と飲んで帰ることはほぼなくなりました。休日出勤は度々ありますが、なるべく振替や取りづらいスケジュールでも半日は仕事を休むようにして、最低でも週に一回はジムではなく外である程度まとまった距離を走るように心掛けています。
会社内でもマラソンランナーであることが認知されてきて、次はどこの大会を走るのか、東京マラソンは当選したかなど聞かれることもしばしばあります。趣味は人それぞれですが、なんかマラソンって市民権を得た感があります。改めてそんなことを思ったのは、以下の記事にはてなブックマークで会ったからです↓
市民ランナーではない人からの視点です。ランナーが読んでみると「別に好きでやっていることなんだけど、周りからそう思われているのかな」と少し恥ずかしくなってしまうような内容でもあります。
しかし、自分のランナー前と後のビフォーアフターを振り返ってみて確かにライフスタイルの変化はあります。一言でいえば「ストイック」になったということでしょうか、マラソン自体に必要な資質でしょうが、それが仕事や生活にもやや反映されるようになった気がします。
前置きがかなり長くなりましたが、今回は「自律神経」についての本を取り上げます。前回の記事↓で運動神経ってなんだと振り返ったときに神経系の話が登場して気になりはじめたのが発端です。
健康法教本 『大人の「運動音痴」がみるみるよくなる本』 深代千之 - ランニング フォーム 改善!マラソンを楽に走るコツとは
また、 ランナーの「ストイック」な面がこの自律神経に関係していると思ったからでもあります。
もちろん、ランニングやマラソン、スポーツとは直接関係のない本です。が、座り方や姿勢に関する本から、普段の生活での身体の使い方がランニングフォームに影響を及ぼすことを学んだように、この本からもランニングに役立つ精神面(神経面)の知識が得られます!
第1章 休息は「動かない」ことではない からの抜粋です。
私たちに備わっている「神経」には、中枢神経と末梢神経があり、末梢神経はさらに体性神経と自律神経に分かれます。手足を動かしたりするときに働く体性神経は自分でコントロールできるのですが、自律神経は自分でコントロールすることができません。
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自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、この両者がバランスをとり合って健康なリズムをつくってくれています。
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よく誤解されがちなのが、「両者はシーソーのような関係であって、どちらかの機能が高ければ一方は低くなって当然」というものです。でも、それは誤り。理想は、両方とも高く維持されている状態です。
交感神経と副交感神経の関係ってトレードオフ(一方を得れば一方を失う)の関係ではなかったんですね。でも一日のなかで両方の自律神経を活発にするにはマインドセット(思い込みなど)を変化させていく必要がありそうです。
現代人がストレスまみれになっていることについて、その原因が「忙しさ」にあると多くの人が考えます。しかし、私はそうは思いません。
自分の時間をうまくつくりだせていないことがストレスになっているのであって、それを「忙しいからだ」と思い込んでいるだけでないでしょうか。
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それは、「いまの仕事はそのままに休む時間をつくる」こと。もっと言うなら、いま以上にパフォーマンスをアップして休む時間をつくりだすことです。「そんなの無理に決まっている」と決めつけないでください。意識改革をしてくれたなら充分に可能なことなのです。
あなたに必要な休息は、自分の時間を自分のコントロール下に置いたときに、いくらでも手に入るのです。本章の最後に、アメリカの詩人カール・サンドバーグの言葉を紹介します。・・・
「時間はあなたの人生の貨幣である。あなたが所有する唯一の貨幣であり、それをどう使うかを決められるのはあたなだけだ。あなたの代わりに他人に使わせないように気をつけなければいけない」
時間的に休めないことからストレスを受けて自律神経が乱れるのであれば、意識改革をして、同じ時間の勤務時間でも、時間的に休めているというマインドセットと習慣が必要となってくるということです。それはどういうことかが次章になります。それにしても最後の名言にはハッとさせられます。
第2章 この発想で時間をつくりだす
会社は案外、あなたの時間を侵害してはいません。まず、その思い込みをリセットしてみてください。
これまで「侵害されている」ととらえていたとしても、リセットして発想転換することで、いくらでも自分の時間にできます。
たとえば、営業先から会社に帰ってきて、エレベーターで自分のフロアに戻ればそれは仕事の時間です。でも、階段を使って足腰を鍛えることに使ったら、その瞬間から自分の時間に変わるのです。
あなたの人生、あなたの時間を、会社に奪われるか自分のものにするか。それを決めているのは会社ではなく、あなた自身だということにまずは気づいてください。
そうです。思い込みから解き放たれることから始まって、次に時間を自分のものにする工夫が必要となるということです。
ポイントは勤務中の時間を自分のために使うことについて「さぼっている」と思わないことです。抜粋にあったように勤務中の細切れの時間を自分のために活用するのです。
営業職だと分かりやすいでしょう。外出が多く移動時間があるので、その時間を活用するということになります。内勤の場合のが難しいですが、つまらない会議で発言の必要がなければ呼吸に集中し自律神経を整えるなどです。要は無駄な時間と思えていたものを自分のものにする工夫が必要となります。
第3章 自分の時間をどう過ごすか
本書で私が提案しているのは、あたりまえの日常の中に自発的に休息タイムを取り入れるというものです。慣れてくれば、仕事をしている平日に充分に休めるようになります。
また、休息とは動かないことで得られるものではないということは、これまで何度も述べてきました。
だから、あえて「休日に休もう」とする必要はありません。やたらに「休日モード」に切り替えてしまうと、かえって疲れが取れなくなります。
いえ、もちろん休んでいただいて構いません。待ちに待った週末でしょうから、大いに楽しんでください。しかし、あまりに特別扱いしないほうがいいのです。
というのも、休日も平日と同じように過ごしたほうが、自律神経のバランスが保てるからです。休日にだらだら過ごしていると副交感神経が上がりすぎて活力がわかず、鬱気味になってしまいます。・・・
それを避けるためにも、休日は、以下の原則を守ってください。
- 寝だめをせずに、なるべくいつもと同じ時間に起床・就寝する
- いくつかの予定を入れる
- だらだらして副交感神経を上げすぎない
つまり、休日には、平日より活動量は少なくてもなんらかの予定を入れて頭も体も使い、生活リズムが崩れない範囲で楽しんでほしいのです。
休日を特別扱いにしないコツは、休日の前日を特別扱いしないことだと思います。
休日前に遅くまで飲みに行ったり、遅くまで起きたりして、休日に昼近くまで寝たりしたりしないことです。
若いころはどうしても飲み会が多くて遅くなりがちでしたが、年取れば飲みに行ってもそれほど遅くなることもなくなるんではないでしょうか。
自分はそもそもランニングを始めてからは飲みに行くよりもジムにいくほうが習慣となってしまったので外飲みが激減しました。
仮に休日前に遅くなったとしても、休日はいつもの起床時間に近い時間に起きて、午後に昼寝したりしたほうがよさそうです。
とにかく「休日に寝て疲れを取る」という意識を捨てるべきなのです。
第4章 効果絶大な休み方のコツ
「ため息をつくと運が逃げるぞ」
こんな厳しい指摘をする人がいますよね。
たしかに、ため息をついたあとに「あーあ、嫌になっちゃう」などとネガティブな言葉を連ねていれば、やがて運も逃げるでしょう。でも、自然に出るため息は、いい休息の一つです。
ため息をつく前、あなたはどういう状況になっているでしょう。
深い呼吸ができているときに、ため息など出ません。ため息が出るのは、呼吸が止まっていた直後なのです。
日常の生活の中で自律神経を整える一番の手段は、呼吸に意識を向けることでしょう。交感神経がアクセル、副交感神経がブレーキだとすれば、スピードが出過ぎたときの警告音がため息だと言えます。
呼吸に意識を向けることは目立たずにどこでも出来るので、意味なく時間のかかる全体朝礼や時間つぶしの会議中などで実践できます。イライラしらた呼吸に意識を向けろです。
「調子が悪いときほど上を向いて歩こう」
こう言われても、なかなかそうはいかないかもしれません。しかし、これ、本当に重要なポイントなのです。
普通、ひどく疲れていたり気分が滅入っていたりすると、人は背中を丸めてうつむきがちになります。こういう状態でいると、気道が押されて狭くなり、呼吸が浅くなって自律神経のバランスが乱れます。・・・
でも、上を見るだけで、体が変わります。登山のときなども足元を気にして下を向いていると息苦しくなるのが、顔を上げるだけで呼吸が楽になります。ほんの小さなことが心身に与える影響は大きいのです。
上を向くことは気道の確保以外にも脊椎を伸ばす効果もあります。どうしても疲れていたり長時間パソコンに向かっていると姿勢が崩れて猫背気味になり気道や背骨を圧迫してしまうので、定期的に上を向く(アゴを上げる)ことによって気道や背骨の並びをリセットしましょう。
おわりに
人間というものは本当に不思議な生き物で、自分の体でありながら自分でコントロールできない部分があります。とくに現代人は、脳から「自律」した神経である自律神経によって振り回されています。現代社会を生きる私たちの不調や疲れ、あるいは「休めていない」という思いの大半は自律神経の乱れからくるものです。
二十四時間消えないコンビニの明かり、つい覗いてしまうスマホの画面......仕事以外にもあなたを疲弊させ、自律神経を乱して不調を呼ぶ要素があちこちに溢れています。
でも、逆に言えば、自律神経さえ整えておけば休まなくても「絶好調」を手に入れることができるのです。・・・
あなたの人生はあなたのもの。それをどういうものにしていくかはあなたが決める。忙しいとか、時間がないとか嘆いているのはやめにしましょう。いまの仕事のパフォーマンスをさらにアップしながら、心身を絶好調に持っていきましょう。
ランナーになって改めて思うのは、ランニングそのものが自律神経の調整に効果的であること。ランナーであれば休日は基本的にジョギングやランニングをする時間を割くはずです。それだけでも自立神経にはいいことだったのですね。
さらに本書を読んで、仕事の中で拘束されていたと思い込んでいた時間を自分のものにすること、ランナーであることのメリットを活かせることも学びました!
自律神経が整えば休まなくても絶好調 (ベスト新書)