ランニング フォーム 改善! 骨盤 肩甲骨 姿勢 習慣 など

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

健康法教本 『大人の「運動音痴」がみるみるよくなる本』 深代千之

大人のための体育の教科書を読んでランニングに応用しよう!

 ランニングの雑誌などでサブスリーを達成!のような市民ランナーの記事を読んでいると、「子供のころは運動音痴だったけど、大人になってからコツコツを走り始めてここまできました」的な発言にあうことがあります。要はマラソンには野球やサッカー、テニスのような球技と違って運動神経が必要ない、走り込んで持久力をつければ誰でもサブスリーとかできちゃいますから、と聞こえてしまいがちです。確かに球技のような反射神経を必要とする素早い動作(瞬発力など)は必要ないかもしれませんが、やはり球技と同じく適正なフォームや身体の使い方などは必要になってきます。ジョギングは別にして、やはりマラソンでもサブスリーレベルで走るには運動神経は必要となってきますよね。当たり前ではありますが、そのへんのことが本書を読むと、なるほど、そういうことか!とスッキリします。

 それにしても思わず中年オヤジが手を伸ばして取ってしまうようなタイトルの付け方ですよね~。

 

 そもそも「運動音痴」とか「運動神経が悪い」ってどういうことかというところから本書は切り込んでいきます。

第1章 大人になったらスポーツを楽しもう! からの抜粋です。

 何度も練習してカラダ(つまり、脳)がおぼえたからこそうまく動けるのです。つまり「運動ができる・できない」の差は、先天的なものではなくて、後天的な要因によるものだということです。
 しかし、カラダがおぼえるといっても、もちろん筋肉自身が動きをおぼえるわけではありません。筋肉に記憶する能力はありません。筋肉に指令を出してカラダを動かしているのは、すべてがおぼえているのです。

  子供のときから生まれつき運動能力のありそうな子がいても、それは実はその子が普段遊んでいるなかでカラダを動かしていて、そのスポーツをこなすに相応しい能力を知らずのうちに会得しているということなのでしょう。

 どんな小さな運動も大きな運動も、脳が電気信号を伝えて神経回路を作り、筋肉へと働きかけていくのです。
・・・
 要するに私たちは、何かをしようとするときには、常に神経回路を作って身体を動かしているわけですから、「運動能力がない」などという人はいないのです。
 「運動能力」は誰にでも備わっています。

  普段の生活の中の動作も(どんな小さな運動も)運動能力を使っている(神経回路が働いている)のであれば、やはりランニングのような基本的な動作は普段の動作も注意して余計な神経回路を作らないようにしなければなりませんね。無駄のないフォームは生活の中で洗練されていくのかもしれません。

 

第2章 こうすれば楽しく運動できる! からの抜粋です。

 

・・・これは体育の授業で練習し続けても上達しなかった子供の能力に問題があるわけではなく、教え方に問題があるのです。
・・・
 とすると、
「ではなぜ先生がきちんと教えないのだ」
 ということになりますが、これには理由が2つあります。
 ひとつは、小学校では基本的に担任の先生が全教科を担当します。国語も算数も理科も体育も、すべて担任の先生が教えるわけですが、その先生が体育の専門家であることはほとんどありません。ですから「教えない」のではなく、「教えられない」のです。
 もうひとつ考えられることは、スポーツ科学や体育科学がまだあまり進んでいなかった頃には、正しい教え方が教科書に取り入れられていなかったということです。
・・・
 繰り返しますが、運動能力は練習によって鍛えられていくものです。
 そして、大人になってからでもちゃんと伸びていきます。

  確かに学生時代の体育の授業でバイオメカニクスの話やその観点からカラダの動かし方やフォームについての解説など聞いた覚えはないですよね(自分は40代なので、若い人は違うかもしれませんが)。とくにランニングに関しては単に走らされるだけだったと思います…。よほど変なフォームの子は注意されたのでしょうが。

 

 運動をしている姿がかっこよく見えるのは、一連の動きがスムーズに行われているためです。そしてスムーズに動いているのは、ムダな動きがないということです。力まずに、必要な場所の筋肉が動いているかどうか。
 筋力の強さよりも、どの筋肉にどこで力を入れるかのタイミング、そして必要のない筋肉をいかにリラックスさせるかがポイントです。
・・・
 下手な人のほうがエネルギー消費が大きいというのは、つまりこのブレーキをかける余分な筋肉が働いているということなのです。

  本書はランニングフォームについての教本ではないし、後半の章では球技を中心にその基本動作の説明がされているのですが、上記の抜粋だけ読んでいるとランニングフォームのことを言っているようにしか思えません。

 

ところで、「トレーニング」と「練習」の違いを知っていますか?
 「トレーニング」とは筋力を付ける、カラダの機能を高める、持久力を付けるといった「体力的」な訓練で、一方、「練習」とはうまくなる、できるようになる「技術系」の訓練です。この2つの大きな違いは、トレーニングで得たものは可逆的で、練習で得たものは不可逆的だということです。

 この定義で、 ランニングについて考えてみると、はじめは(初心者は)トレーニング主体となると思います。心肺機能の強化や持久力をつけることなどが主眼となるからです。
 対して中級者になってくると、いかにランニングエコノミーを高めるかというような適正なフォームで余計な筋力を労費させないという技術的な面がポイントになってくるでしょう。
 ランニングフォーム改善は、「練習」によって身に付けられる「技術」で不可逆的なんですね!真剣に取り組む価値があるというものです!

 

 記憶には、
 単語をおぼえるなどの「頭でおぼえる記憶」と
 運動などの「カラダでおぼえる記憶」
 があります。
 「頭でおぼえる記憶」は大脳のシナプスの伝達効率が長期間増強する「長期増強(LTP; Long Term Potentiation)」という現象によるものです。
 一方、「カラダでおぼえる記憶」は、小脳のシナプスの伝達効率が長期間抑制される「長期抑制(LTD; Long Term Depression)」現象によるものです。

 例えば、一輪車の練習をするとき、身体を動かすための運動指令信号は大脳から手足の筋肉を動かす神経に直接伝わると同時に、小脳にも伝達されます。
 そして、もしうまく乗れずに失敗して転んだ場合には、間違った動きをしたということを伝える信号が小脳に伝えられます。するとその小脳のシナプスに長期抑制が起こります。
 一輪車の練習を続けていく中で、間違った運動指令を伝えるシナプスは次々と長期抑制されて、正しい乗り方をした運動指令だけが伝わるようになります。
 つまり、脳はうまくいったときの信号だけ伝えて回路を作り、カラダの動かし方を記憶しているのです。

 身体でおぼえる記憶(=運動)はこのようなしくみになっているため、成功体験が大切なのです。

  本書で得た知識の中で一番「へぇ~、なるほどねぇ~」と唸った箇所だったので長めに抜粋してしまいました...。皆さんは知っていましたか?
 だけど、「ランニング」ってこの長期抑制を活用するには工夫が必要です。何せ「走る」こと自体からの失敗や成功体験が得にくいからです。まずは単に「走る」ことと「適正なフォームで走ること」=「ランニング」とを別に認識しなければなりません。
 では「ランニング」=「適正なフォームで走ること」の「適正なフォーム」とは?「長く速く走れるフォーム」です。「長く速く走る」には?無駄なエネルギーロスを抑えれば、力みがないスムーズな動作が可能になるし、疲労も少なくなり長く走れます。
 よって「ランニング」の成功体験(私にとってのですが)とは「ある程度の距離を走っても前よりも疲れずに比較的速く走れた」ということでしょう。
 単に平地を走ることでイメージすると分かりづらいかもしれませんが、例えば階段を上ることで考えると分かりやすいです。自分での例ですが、会社ではいつも8階分階段を駆け上がるようにしています。このときにフォームが悪いと余計な筋力を使ってしまい前もも(大腿四頭筋)が疲労します。適正なフォームで力の使い方やタイミングがあっていれば前ももをあまり疲労させずに上り終えることができます。小さなことですが、こんなんでも成功体験によって神経回路が作られるのでしょうか。

 

 

第3章 運動感覚を研ぎ澄まそう! からの抜粋です。

 

 ・・・運動で大事なことはスムーズに動くこと。そして、スムーズに動くために必要なのは、ムダな力を抜いて、必要な場所の筋肉を動かすことだと説明しました。
・・・

 考えながら動くとどうしても必要のない力を使ってしまいますから、まずは「こんな感じ」というのがわかるように、自分でカラダの動きをひとつひとつ確認しながらゆっくりやってみるといいでしょう。

 そして、次に少しずつ動作のスピードを上げていくと、だんだんとリズムがついてきます。途中でわからなくなったらまたゆっくりとしたテンポに戻し、動きを確認してください。繰り返していくうちに、徐々に感覚が掴めてきます。

  上記は一般的なスポーツの動作について述べているのですが、ランニングも例外ではないですよね。やはりランニングの「成功体験」は「スムーズに動く」ことであり、そのためには無駄な力を抜いて(無駄な力の入らないフォームで)、必要な場所の筋肉を動かす(ブレーキとなる筋肉ではなくアクセルとなる筋肉を動かす=脚の表ではなく裏側の筋力を利用する)ことでしょうか。

 

第4章 実践編1 カラダを整える「ストレッチング」と「ワーク」より

  この章からは実践編で、イラストで解説があります。詳しくは本書をお読みください。ここではランニングに参考になるものをいくつかピックアップしてみます。

体幹ワーク 「お尻歩き」

 お尻歩きは、お尻の下にスリッパを履かせたような感じで、まさにお尻で歩く、つまり目に進んでみましょう。片方のお尻を浮かせながら、交互に繰り返し前進します。背骨を中心としたバランス感覚が鍛えられます。「いちに、いちに」と声を出したり、歌などを口ずさみながらテンポよく行うといいでしょう。

片方のお尻をしっかりと上げ、背骨が動いていることを意識しながら進みましょう

 本書ではイラストで解説がありますが、動画のが分かりやすいでしょう、本書とは直接リンクしてはいませんが、参考動画です↓


おしり歩き 5分でできる便秘解消体操

  ランニングフォーム改善にはどの点が役に立つのかというと、「体幹ワーク」とある通り、この「おしり歩き」で体幹の使い方が身につく点でしょうか。なので、おしり歩きをしながら走っているイメージを持つといいでしょう。骨盤が立っている、猫背になっていないこともポイントです。

 

第5章 実践編2 カラダが運動好きになっていく! 「ドリル」

スプリングドリル「スキップ」

 スキップは、膝を前に放り投げるような感覚で行います。腰の屈曲で膝を前に出すような感じで。腕は、大きく振りますが、力は抜きましょう。

股関節を使って、脚を振り上げる感じで

 

 上記の説明とは直接リンクしませんが、ランニングのドリルとしてとても参考になるスキップドリルの動画がありました↓


スキップの学習ドリル McDavid for Running

 これは、もろにランニングに役立つドリルでしょう。 動画で見ると簡単そうですが、実際にやると結構難しいと思います。
 「スプリントドリル」とあるので、単距離をイメージしてしまいますが股関節を活性化させるドリルなのでマラソンにも効果的です。もちろんスキップのリズムのままでマラソンを走るわけではないので、あくまでも股関節活性のための予備動作です。
 動画のキャプションにもありますが、意識するポイントは、

・股関節から脚を振り上げる(地面を蹴って上げるのではない)

・脚の裏側の筋力を意識して腿を振り下ろす

・スタンプのような踏みつけ(蹴らない)で地面反力をもらう

 すぐにできる人はエリートランナーです。

 

ジグザグドリル「腰回転」

 最初は少し難しいので、まずは足のステップをおぼえましょう。
 その後、意識を足先から股関節に移し、上体と腰をひねりながら移動します。このとき、両腕を大きく開いてバランスをとると、腰をうまくひねることができるようになります。

カニのように横移動しながら、上体と腰をひねるのがポイント

 

 こちらも上記のドリルとやや違うもののよりランニング向きのドリルの動画がありました↓


【かけっこ教科書】クロスステップを学ぼう【14ページ】

  これもランニングフォーム改善に直結するドリルですが、動画のように速く走るのはやはり難しいでしょう。これもできたらエリートランナーです。
 「腰回転ドリル」とありますが、さらに脚の内旋・外旋の動きを引き出すドリルだと思います。横に進みながら脚が前にくるときは内旋、後ろにくるときは外旋しているはずです。前に進むときも支持脚(後ろにくる)はやや外旋、遊脚(前にくる)はやや内旋するのが理想です。

 

 第6章 実践編3 これだけおぼえよう!「競技別ポイント」では、

以下のスポーツの動作を前章までのドリルやワークの応用として解説されています。球技中心でランニングフォームは登場しませんが。

  • 野球:バッティング、フライを捕る
  • サッカー:シュート、ドリブル
  • バスケットボール:シュート、ドリブル
  • バレーボール:スパイク、レシーブ
  • テニス:フォアハンドストローク、サーブ

 

おわりに では著者から以下のメッセージがあります

 

運動音痴は存在しません。

できる・できないは経験の積み重ねです。

運動やスポーツは練習すれば必ず上達します。

そしていくつになっても、上達します!

 

  マラソンって大会に出ると分かると思いますが、市民ランナーの7割くらいは40代より上ですよね。自分もそうですが、40代となり体力の衰えやメタボが気になって走り始めたりジムに通いだしたりして、市民ランナーとなっていく人が多いと思います。
 そういう我々にとって上のメッセージはとても励みとなりますよね!

 

大人の「運動音痴」がみるみるよくなる本