座りながらインナーマッスルを刺激してリフレッシュ! ランナー体質を維持しよう!
連続して同じ著者の本で、内容もかぶる部分もありますが、姿勢というテーマに対して切り口が違って興味深いので紹介しちゃいます。前々回の記事では「体液」からの切り口、前回の記事は「座り方」の切り口、今回は「内臓ストレッチ」という切り口です。しかも「座りながら」実践できるストレッチです。
この「座りながら」というのがポイントです。前回の「・・・座り方」でも触れましたが、一般的に現代人は生活の中で座っている時間が長く、その時にとっている姿勢がカラダに影響を与えてしまう。なので、いくら運動する前に少しの時間ストレッチをして筋肉を伸ばして姿勢を整えても、座っているときの姿勢が悪ければ、普段の(立っているときの)姿勢が悪くなるのは当たり前ですよね。
だけど、座っている姿勢を整えても、ある程度長時間座っているとリフレッシュしたくなります。そこで本書で紹介されている内臓ストレッチが役にたちます。座りながらできるストレッチなのでオフィスでも実践できるものが多いです。なかには人目が気になるものもありますが、目立たないように自分なりに変えて(ポーズを小さくしたり)みればいいでしょう。インナーマッスルのストレッチなので、伸ばす箇所を意識すればポーズが小さくなっても効き目はあると思います。
さて、本書で紹介されている内臓ストレッチとは何ぞや?内臓ってストレッチできるんか?と思ってしまいます。内臓をストレッチするなんてヨガのマスターか鶴ちゃん(片岡鶴太郎)か⁈
「はじめに」ですぐにこう説明があります。
① 「横隔膜」をフル稼働させて、肺を拡げる
② 「股関節」を動かして、腸や子宮を元気にする
③ 「肩甲骨」を自由にして、心臓をリラックスさせる
そうですよね、内臓自体は、不髄意筋 (自分で意識して動かせない筋)ですから、内臓を適切な位置に誘導するためのストレッチということです。
Chapter1:どうして私たちは疲れるの? からの抜粋です。
疲れないカラダをつくる3つのポイント
1 カラダを動かすことを心がける
2 骨盤の位置を意識して、正しい姿勢で生活する
3 3つの内臓ストレッチを行う
1は、ジム通いとかランニングだけではなく、生活の中で、なるべくエレベーターやエスカレーターではなく階段を使うとか、仕事でもなるべく座りっぱなしではなく率先してカラダを動かそうということです。
でも職業や職種によってどうしても机に向かっている時間が長くなりますよね。その場合、2の正しい姿勢がポイントとなってきます。要は前の記事(同じ著者)の座っているときの姿勢です。
そして3つ目が本書の内臓ストレッチなんですね。3つのポイントを貫いているのは、筋肉を緊張させっぱなしの状態が良くない(疲れる)ということでしょう。
Chapter2:内臓を活発にして疲れないカラダを手に入れよう からの抜粋です。
内臓ストレッチをするときのポイント
1 ゆっくり行う
2 目的の筋肉を意識して行う
3 筋肉の正しい位置をカラダに記憶させる
2の目的の筋肉ということの認識が重要です。無自覚的にとっている姿勢などから緊張が続いている筋肉を弛緩させるために拮抗筋(使われている筋肉を主動筋とすると、その反対側の筋肉)を意識しようということです。以下に分かりやすい例が紹介されています。
例えば、猫背のケースで考えてみましょう。猫背の場合は、「腹筋」が縮んでいて使われていません。そして、背中側の「脊柱起立筋」が引き伸ばされて疲れている状態になっています。
そのため、ストレッチをするときには、腹筋を意識して伸ばし、背中側の筋肉を縮めるつもりで行うようにします。
さて、いよいよ本題です。Chapter3:横隔膜を伸ばして肺をひろげる
深呼吸したときの横隔膜の動き
・肋骨の前側だけが拡がる: 横隔膜が正常に動いていない
・肋骨が前後に拡がる: 横隔膜が正常に動いている
深呼吸をするときは、しっかりと腹式呼吸をしようということでしょう。前々回の記事にも深呼吸のポイントが紹介されていましたが、深呼吸のときに四肢の内旋外旋を意識すると腹式呼吸を誘導できると思います。息を吸う時に四肢を外旋させるとお腹を膨らせやすいですし、息を吐く時に四肢を内旋させるとお腹をへこませやすいからです。
各ストレッチの実践の前に意識すべきポイントが示されていて、ストレッチの目的が確認できます。ここを覚えておけばストレッチのポーズが多少違っても目的が達成できると思います。
座っている状態とはいえ、ストレッチをオフィスなど周りに人がいる場所で実践する場合は目立たないポーズをとりたいですよね。下記の内臓ストレッチでいえば、腕を軽く腰に当ててみたりすると少し自然な形になるような気がします。意識する筋肉が伸びていれば自分流にアレンジしてみるのもありです。
横隔膜の内臓ストレッチ
【意識すること】
・横隔膜のバランスのとれた位置はどこかをイメージする【意識する筋肉】
・伸びている筋肉: 横隔膜の前側の筋肉
・縮んでいる筋肉: 横隔膜の後ろ側の筋肉
横隔膜の内臓ストレッチ ~腕水平ひじ直角法~
1:イスに座ります
2:腕を水平に伸ばし、ひじを直下に曲げて手のひらを後ろに向けます。
3:上体を10度くらい前傾させます。
4:そのままゆっくりと3回深呼吸します。
5:後ろの肋骨の位置をキープして、横隔膜の後ろ側にストレッチがかかった状態のままゆっくり起き上がります。
2~3
次は、Chapter4:股関節をゆるめて腸や子宮を元気にする です。
まずは股関節まわりの筋肉の理解が必要になります。意識すべき筋肉がどこにつながっているかを理解できていないと意識しにくいですからね。
1: 股関節の前側を支える「腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)」は、大腿骨の内側の「小転子」についている
2:股関節の後ろ側を支える「大臀筋」などお尻の筋肉は、大腿骨の外側の「大転子」についている
百聞は一見に如かずです↓
では、座っていながら腸腰筋を伸ばすにはどのようなポーズを取ったらいいのだろう? 股関節の内臓ストレッチでは、逆に腰を折り曲げて、尻を引き、背骨を伸ばすようなかっこうで伸ばすんですね↓
股関節の内臓ストレッチ
【意識すること】・大臀筋と腸腰筋がバランスのとれる位置はどこかをイメージする
股関節の内臓ストレッチ ~お辞儀ストレッチ~
1:イスに座り、座面に手をついてカラダを2つ折りにし、肛門を後ろに引きます。すると、腰曲がりの人は縮んでいた腸腰筋が伸び、引っ張られていた大臀筋が緩みます。反り腰の人は、縮んでいた大臀筋が伸び、引っ張られていた腸腰筋がゆるみます。
2:その姿勢のまま、腰曲がりの人は腸腰筋、反り腰の人は大臀筋をストレッチするイメージで、ゆっくり深呼吸を3回行います。
3:腰曲がりの人も反り腰の人も、背骨がまっすぐ伸びるイメージで、ゆっくり起き上がります。
4:左脚を30度外に開きます。
5:左坐骨を左手で持ち上げ、後ろにずらしてから左坐骨をそっと置きます。左脚を元の位置に戻します(男性は脚の位置はそのまま)。
6,7:右脚も同様に。
8:両手の指先で両ひざを軽く押さえます。最後に、腸腰筋を意識して深呼吸を5回繰り返します。
肩甲骨の内臓ストレッチ
【意識すること】
・前鋸筋と大小菱形筋が、前後左右バランスのとれた位置はどこかをイメージする【意識する筋肉】
・伸びている筋肉:大、小菱形筋
・縮んでいる筋肉:前鋸筋
肩甲骨は分かっても、前鋸筋(ぜんきょきん)や菱形筋(りょうけいきん)って普段聞きなれない筋肉ですよね↓
肩甲骨の内臓ストレッチ ~卍ストレッチ~
1:骨盤を立ててイスに浅く腰かけます。
2:凝っていない側の手のひじを直角にして背もたれに手を順手にして乗せます。
3:順手にしていた手を逆手にするようにしながらゆっくり胸郭を開いていきます。このとき、前鋸筋がゆったり伸び、大、小菱形筋が背骨に押しつけられるに縮むイメージで行います。
4:そのまま、深呼吸を3回行います。
5:4の肩甲骨の位置を保ちながらゆっくり手を戻し、太ももの上に手のひらを下にしておきます。
6:反対側(凝っている側)も同様に行います。
2:(手は順手=甲が前向きで)
背もたれの高さにもよると思いますが、自分のような肩甲骨周りが硬い人にとっては結構きついポーズとなります。でも座っている状態でのリフレッシュにはいいポーズですね。
Chapter6:カラダのゆがみを矯正する「モゾモゾ体操」と組み合わせるからは座位バージョンのモゾモゾ体操の登場です。
モゾモゾ体操については、前々記事(3つの体液を流せば・・・)にくわしいのでここでは改めて詳しく抜粋しませんが、モゾモゾ体操の主目的は仙骨を動かすことなのでその位置は再確認してみたいと思います↓
脊椎の根本、左右の腸骨に挟まれた深層にある骨ですが、ポイントは背中寄りに位置していることです。腰の下あたりですね。
それでは、その仙骨を動かす体操の座位バージョンです↓
座位・モゾモゾ体操
STEP1:つま先押し出し(仙骨が動き出し脳脊髄液の循環がよくなります)
1:イスに座り、腸骨に手を軽くおきます。
2:左右のつま先をゆっくり交互に床に押します。このとき、つま先を押したほうのかかとが1㎝ほど上がります。
3:2を5往復行います。
STEP2:アゴ出し(頭と首の間の緊張を解放することにより脳脊髄液を流れやすくします)
1:腸骨に手をおいたまま、アゴをゆっくりと上にあげていきます。
2:45~50度アゴを上げて天井が見えたらストップ。
3:アゴを元の位置にゆっくりと戻します(1回のみ)。
STEP3:つま先押し出しとアゴ出しを3往復します。
STEP4:ワイパー(仙骨を動かし脳脊髄液の生産を促します)
1:腸骨に両手をおいた姿勢からスタートします。
2:かかとをつけたまま先をほんの少し浮かし、両足同時に左右に3㎝ほどワイパーのように動かします。
3:2を5往復行います。
STEP5:STEP1のつま先押し出しを5往復し脳脊髄液の循環をよくして終了です。
(腸骨に手を置いた状態)
最終章は、Chapter7:スキマ時間にできる「下肢ストレッチ法」でアンチエイジング です。
最後にアンチエイジングのために下半身を鍛えることの重要性の説明があり、内転筋のストレッチが紹介されます。
自分のようなO脚の改善にも有効なストレッチだと思いますが、何よりランニングフォーム改善にとっても重要なストレッチだと再認識しました。
この内転筋がしっかりと起動していれば、つぶれないランニングフォームを維持できると思うからです。逆にこの内転筋が起動していないとランニング時に身体が沈み込み、余計なエネルギーロスを生む不効率なフォームとなってしまいます。
内転筋の簡単ストレッチ ~ヒザ押し~
1:イスに深く座ります。
2:上体を前屈させ坐骨を後ろに引いてからゆっくり起き上がります。
3:両ヒザを強く押しつけあいます。
4:両ヒザを強く押しつけたまま両方のかかとに力を入れます。そのまま肛門を浮かすイメージで締め、深呼吸を3回します。
5:4を3回繰り返します(慣れてきたら回数を増やしてください)。
(4:両ヒザ→かかと→肛門うかす)
会社で朝、メールをチェックする際にヒザの間にハンカチなどを挟みキープするなど自分流にアレンジしています。内転筋を活性化させて、つぶれないランニングフォームを目指していきたいと思います!
3分間「内臓ストレッチ」で疲れないカラダをつくる