座っている時からフォーム改善を実践しよう!
前回の記事『「3つの体液」を流せば健康になる!』に同著者が前著である本書に触れているのが気になって読んでみました。「3つの体液・・・」はランニングやウォーキングのモチベーションアップにつながる知識を得ることができましたが、本書はランニングやウォーキングのフォーム改善に間接的に、もしくは直接的に影響してくる内容でした。
というのは、普段の姿勢がランニングやウォーキングのフォームにも影響を及ぼしてくることが多いからです。そして、職業などによって違いますが、生活の中で座っている時間の占める割合が多く、そしてまた座っている時に姿勢が崩れやすいので、「座り方」を改善すればランニングやウォーキングのフォーム改善にも影響するというわけです。
それにしても改めて生活の中での「座っている時間の割合」を振り返ってみると歴史上、一番多いのではと思ってしまいます。その原因は、自分の今の状態そのもの(PC画面を見ている)ですが、画面を見る機会が増えたためだと思います。おおよそ、テレビ画面やパソコン画面、スマホ画面などを見ているときは座っている確率が高いといえるでしょう。寝ている以外で一番占める割合の多い状態の姿勢を改善することができれば、自ずから立ち姿勢も良くなり、動作するときの姿勢も良くなるハズです! ランニングフォームの教法の多くが「このような間違ったフォームを直しなさい」「このように着地すべき」などと指摘する対処療法的な内容だとすれば、座り方の改善はランニングフォームの原因療法とも言えます。
それでは本書の内容の紹介、ポイントの抜粋です。
第1章「姿勢を変えれば人生が変わる!」では我々の普段の姿勢が座っているときに崩れやすいことの指摘です。また、その改善の影響を下記のように言っています。
立っているときは、足で体重を支えています。一方、座っているとき体重を支えているのは骨盤です。
肉月(にくづき)に要と書いて「腰」と読みますが、実は解剖学的には骨盤こそが身体の要なのです。腰を楽にするためには、骨盤を解剖学的に正しい位置にセットする必要があります。
そうなれば背骨(脊柱)や股関節、大腿骨など、骨盤に連なる骨や関節がすべて安定し、腰痛だけでなく、肩や首、背中やこりも、すべて解消されていくのです。
そして「骨盤を解剖学的に正しい位置にセットする」のは座り方がポイントとなるのです。
第2章「坐骨を3センチ後ろに引くだけ!」では、早くもタイトル通りの座り方の紹介です。
その前に、骨盤が後傾したまま座っているときの衝撃の悪影響が指摘されます。
骨盤が後ろに倒れていると、大臀筋・中臀筋・小殿筋・梨状筋など、骨盤の後ろ側についている筋肉が無理に伸ばされた状態になります。一方、骨盤の前側の大腰筋・腸骨筋は縮んだままたるんでいます。
後ろ側は無理な力で酷使され、疲れて伸び切ったゴムのようになる。
前側はほとんど使われfないまま、だらけきっている。
ランニングフォームでも骨盤の後傾がよくないことを指摘している教法が多いですが、こんな悪影響があるからだなんですね。
椅子の座面に触れる大きくてゴロゴロした骨、坐骨をいつもより3センチ後ろに引いて座るだけです。すると・・・坐骨の前のほうで座るようになります。
1 椅子の前方に手をついて足に体重をかけ、坐骨を少し浮かし3センチ後ろに引きます。
2 その腰の角度を保ちながら上体を起こします。
本書でも一番に注意していますが、この時に反り腰にならないようにするのがポイントです。腹を伸ばすように意識する、もしくは仙骨を立てるように意識すると反り腰を予防できるように思います。そうすると背骨が反るよりも伸びる方向へと修正されると思います!
第3章『「坐骨3センチ」から肩こりを治す!』
坐骨3センチを実践すると肩こり解消につながるという説明の章です。
肩こりを抱えている方の大半は、背中と腰が丸くなっています。背中や腰、首まわりの筋肉が無理に引き伸ばされてヘトヘトになってしまうのです。「坐骨3センチ」によって骨盤が正しい位置にセットされると、
背骨が伸びる(背中の筋肉に無理な負担がかからなくなる)
↓肩が後ろにくる(肩の筋肉に無理な負担がかからなくなる)
↓あごが引ける(首の筋肉に無理な負担がかからなくなる)
↓頭を楽に支えられるようになる(首・肩・背中・腰の筋肉の負担が減る)
という好循環が起こり、肩こり解消につながります。
この背中まわりの筋肉群がリラックスするというのはランニングフォーム改善にとっても重要ポイントです。それによって肩甲骨の稼働がスムーズにいくからです。
第4章『「坐骨3センチ」からのO脚解消!』
私もO脚なので興味深い章です!
ひざの真下に足を置く
足を前のほうに出してしまうと、後ろに重心がかかりがちです。一方、足を後ろに置くのは体重が前にかかるので、見た目の美しさはともかく、骨盤や股関節にとってはそんなに悪いことではありません。
よく足を前に出して交差させてしまうのですが、注意します!足の位置はひざの真下か後方ですが、椅子の高さでベストポジションは変わってきそうです。
そしてもう1つ気をつけていただきたいのが、ひざの開き具合です。・・・男性と女性では骨盤の構造が異なりますから、男性は肩幅程度、女性は握り拳1個分ほどひざが開いている状態がもっとも股関節が安定した位置になります。
これはまさしくO脚予防のために気をつけたい基本項目でしょう。これは左右のつま先の方向が平行になっているかがチェックポイントになります。
「坐骨3センチ」+「大転子3センチ」
坐骨3センチで腰掛けたら、太ももの外側のでっぱり(大転子)を手の平で包み込むように持ちます。指でグッとつかむようにしてそのまま片方ずつ斜め45度後方(ひじと同じ方向)に3センチほどひっぱりましょう。
この「坐骨3センチ」の「大転子3センチ」追加ですが、O脚の修正のために紹介されていますが、坐骨3センチでしばらく座っていて、坐骨の同じ箇所に重心がかかっているときのリフレッシュにも使えそうです。
他にもO脚の改善のティップスが以下のように紹介されています。
・ハンカチやスカーフでひざを固定
・寝ているときにも脚をしばる
・脚をしばって屈伸運動
・タオル寄せ運動(かかとをタオルの端に固定、足の指でタオルを土踏まずの中に折り込む)
タオル寄せ運動以外は脚をしばるということですが、タオルだと結んだりするのが面倒なので、結束バンドを買ってしまうほうが便利です(そんなに高くないので)。
5本あるので、腿、ヒザ、スネと3ヵ所結んだりするのも、他の2本を違う部屋に置いておくなどもできます!
第5章『「坐骨3センチ」からの下腹スッキリ!』
以下のストレッチで腸腰筋ばかりか、腹筋にも働きかけられると思います。
腸腰筋に働きかけるストレッチ
1 坐骨3センチの姿勢を保ち、手で椅子の下を持ち、ひじを伸ばして椅子を持ち上げるように力を入れます。
2 頭の位置を保ったまま、下腹に力を入れてへそを背骨に近づけ、背骨を椅子の背もたれに近づけます。
同時に肛門に力を入れ、肛門を斜め前方に持ち上げましょう。
自然な呼吸で10秒間キープします。
また、このストレッチも椅子に座ったままできるので、坐骨3センチである程度の時間座っているときのリフレッシュになります。
第6章『奇跡の「もぞもぞ体操」』
この体操は、前回の記事で紹介しているので参照してください。
この体操によって、仙骨をもぞもぞと動かすわけですが、このインナーに位置する関節って繊細なんですね。
関節というと、ひじやひざ、股関節のように大きな動きをするものを想像されるかもしれませんが、各関節の動きはそれぞれ大きく異なります。
仙腸関節は1ミリ動くか動かないかという微妙な動きをする関節であり、プロがさわっても蟻が這う程度の動きしか感じられません。しかし、この蟻が這う程度の動きが非常に重要なのです。
・・・
仙腸関節をゆるめると、副交感神経がリラックスし、・・・内臓の動きがよくなるほか、疲れにくくなる、回復が早くなるなど、さまざまな効果があります。
第7章「姿勢なんでもQ&A」
最終章ではQ&Aが16個紹介されていますが、ここではランニングに関係するウォーキングに関する項目の抜粋です。
Q6:正しい歩き方についても教えてください
正しい歩き方の一番のポイントは、かかとでついて足の親指で蹴り上げ、ひざ裏を伸ばすことです。
この歩き方を実践すると外側重心が解消され、O脚の予防になります。脚の内側・外側の筋肉がバランスよく使われて、脚全体がほっそりとしてきます。
かかと着地や蹴り上げについては、歩き方教法により詳しいのでそちらを参照してほしいと思いますが、ここでのポイントはひざ裏を伸ばすとことです。これもより詳しい姿勢教本があるので、参照ください。