ランニング フォーム 改善! 股関節と肩甲骨を動かそう!

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

ウォーキング教本:「競歩式 最強ウォーキング」 柳澤 哲 著

空前絶後の歩き方教本! 競歩式の身体の使い方はランニングにも効きます‼

 タイトルにある通りですが、ウォーキングで最強最速のフォームは競歩であることは間違いないですよね。著者の記録は20㎞で1時間19分29秒(2009年当時で日本最高記録)とあります…ん? 1㎞ペースで4分を切ります⁉ マラソンでも余裕でサブスリーのペースとは‼ 
 以前に小規模なハーフマラソンの大会に出た時に、気合いを入れて前のほうに位置取りをしてのスタート後に、身体をくねらせた競歩の選手らしき2名に簡単に抜き去られたことを思い出しました。その時も競歩ってこんなに速いのか⁉ と目の当たりにして驚きましたが、改めて考えてみてもトップ選手がサブスリーペースより速いのであれば当たり前ですよね。もう歩きの範疇ではないです。ほとんどの市民ランナー(95%以上)よりも速いのですから!

 ということで、「競歩式」というキーワードが気になって本書を手にとりました。大判(B5サイズ)で写真が豊富で分かりやすく読みやすいです。読んでみての感想は…さすが「競歩式」‼、ウォーキング教本のなかでもランニングフォーム改善に役立つ知識が満載でした!

 

 まず序章では、一般人とプロアスリートの差は何かということを論じています。そこには体形や筋力とは別に大きな差があるといいます。

それは、皆さんより選手は「楽」をしているからです。
その「楽」というのは、競技スポーツ選手は自分の個性に合った無理無駄の少ない「身体を動かす技術」を習得しているからこそ生まれます。これが動きの無駄をなくし、素早く身体を動かすことを可能にしています。また、動きの無理をなくすことで長時間、身体を動かすことができるのです。

 

 

 第1章では、ウォーキングの効果を紹介しています。有酸素運動のメリットやペースの目安としての心拍数や主観的運動強度の説明など。

 第2章では、実践前の準備についてです。シューズやウェア、休息(睡眠)、ウォーミングアップ(ストレッチ)についての説明です。

 そしていよいよ第3章で実践編です。

 実践編の冒頭では、ウォーキングフォームの誤解しがちなポイントとして次の4つを指摘しています。

腕振り:大きく振ること自体は大切なことですが、力任せに前後に大きく振ってしまうと、肩がこるなど却ってマイナスになることも。上手な振り方を身につけると、楽に大きく振ることができ、歩く速度もアップします。

歩幅:歩幅を大きくして歩くことは、ウォーキングの大事なポイント。でも、足を前方遠くに大きく踏み出そうとすると、実はブレーキになってしまいます。前に踏み出すのでないとしたら、どうするのか?ここが重要なカギなのです。

:ウォーキングはもちろん、普段の歩きでも、膝が伸びていると美しく見えます。ただ、太ももの前側を伸ばすことに意識が集中するのはスムーズなウォーキングの妨げに。膝が楽に伸びる歩き方を習得してウォーキング美人、ウォーキングハンサムになりましょう。

かかと:上手なウォーキングでは、かかとから地面に着地するのがグッド。でも、そのためだけに「つま先を上げる」のは正しくありません。つま先を意識しずぎると、脛がパンパンに張ることに。上手な着地方法を知りましょう。 

 ただ単にウォーキングで体力を使ってダイエットに臨むのであれば、腕をぶんぶん振って前腿を力ませて一生懸命に歩いてもいいかもしれませんが、軽やかに速く歩くにはどのようなフォームや意識が最適なのかの指摘はさすが競歩選手です。やはりランニングフォーム改善にも大いに参考になりそうです。次に各項目の詳細です。

 

 

 Lesson1: まず姿勢を作ろう

1、両足を少し広げ、膝を伸ばして立ちます。

2、両手を上げて、お腹を引き上げるように伸びをします。身体の中心に自分のを作るイメージで。

3、姿勢をキープしたまま腕だけを降ろして、肩の力を抜きます。このときに腰の位置が少し高くなっていて、お腹が引き伸ばされている感じを意識しましょう。

4、かかとから頭まで、横から見て直線のイメージを作り、その直線のまま身体を前に傾けていきましょう。足が前に出そうになるぐらいの前傾姿勢を意識します。かかとが少し浮くイメージです。

  Lesson1はフォームの基本である姿勢をまず整える方法のひとつを紹介しています。本書では写真入りでとても分かりやすいです。が、写真をみてかっこうをマネするよりもイメージや意識が大切だと思います。ポイントは、「お腹を引き上げる」ことでしょうか、背骨を反らし過ぎないことも大切だと思います。
 走っている最中でも、特に疲れてくると猫背気味になってくるときがありますが、このときに「お腹を引き上げる」ことを意識すると姿勢がつぶれることを防止できます。

 

Lesson2: 腕を振ろう

1、肩の力を抜きます。

2、腕をだらりと伸ばし肩からひじまでが糸、ひじから先が重りだというイメージを持ってみましょう(振り子をイメージ)。

3、腕振りの軌道を意識します。まず、両手をまっすぐ前に伸ばし、手のひらを合わせてから両わきに振り下ろしたときに作られる軌道で腕を振ります。振り下ろしたときのわき腹とひじの距離は拳一つ分程度です。

4、背中の肩甲骨を柔らかく動かすイメージで、ひじを後ろにだけ引きます。二の腕(肩からひじ)が身体から離れるよう軌道を意識します。

5、2の振り子のイメージができていて力さえ抜いていれば、逆の手は楽に前に出ます。

6、腕の「振り幅」の調節は後ろへの腕振りでします(前への振り幅は惰性)。

7、この腕振りに慣れてきたら、ひじを90度に曲げて振ってみましょう(拳が腰の横を通過するイメージで)。

8、ひじを曲げて振る際、ひじから拳のラインを腕振りの軌道上で振るよう注意しましょう。

  ランニング教本でも腕振りについての様々な方法や意識が紹介されていますが、ここで紹介されているイメージがとても分かりやすくランニングにもおススメです。
 特に2、の振り子のイメージと3、の軌道の意識です。
 振り子のイメージで肩の力みを取り除き、軌道の意識で肩甲骨をなめらかに動かすことができるようになると思います。

 

Lesson3: 体重を利用して歩こう

 大きな歩幅で歩くことは大切ですが、前に大きくではなくて、後ろに大きく歩くのが上手に歩くポイントです。
・・・・
 後ろに大きな歩幅を作るためのポイントは、

・支える足に重心を載せる(立つような感覚を持つ)

・足は足、腰は腰 とバラバラにしないで、身体を使う

 この2点です。これができれば、身体の重さを使って歩くことができるようになります。

 まずは「後ろに大きな歩幅」を作る準備として、次の動きを意識してみましょう。

1.普通に歩く要領でリラックスして歩き出します。

2.一歩一歩に立つという意識を持ちながらも、動きを止めないでスムーズに。

3.一歩一歩に体重が載っている感じを意識します。

4.腰の上からかかとまでが一つの筋肉だという意識を持って、上半身を前に押し出すように足全体で水平に地面を押し出します。

 

ココは本当にランニングフォーム改善にとっても大事なポイントがてんこ盛りだと思います。そして、とても分かりやすい主観イメージで表現されています。
 「後ろに大きく歩く」という「速く歩くこと」に一瞬矛盾してしまうような表現。でも逆を考えてみると納得しやすいです。仮に「前に大きく歩く」と意識するとどうなるか。重心から着地位置が離れてブレーキをかける着地に誘導されてしまいます。必然的に前腿(大腿四頭筋)が緊張しスピードがでない割りに体力を消耗させます。姿勢ものけぞるようになり骨盤も後傾してしまうでしょう。
 「後ろに大きく歩く」と意識すると、重心が載った着地で裏腿(ハムストリングスや大殿筋)が軌道しやすく、骨盤も前傾しやすくなるでしょう。そして遊脚(反対側の脚)を自然に前に振りだすことにもつながります。
 また「後ろに」というイメージは客観的な動作でいえば、上記にもある通り「水平に」という方向を示しています。上方向でないことが重要です。上下動を誘発させずに進む方向への動作へ誘導させるために着地足の主観イメージとして「後ろに」なのです。自然に身体が前方法(進む方向)に押し出されるでしょう。

 

 ・・・左右の足に丁寧に重心を移動させて「一歩一歩に立つ」という意識を持ちましょう。そうすれば立っている側の骨盤が上に傾き、リラックスしている側の足の骨盤は下がります。
 リラックスしている足の振り出しのためには、反対側の足に立つということが大切であることを感じてください。
 実際に歩いてみて、重心の載っている側の足から押し出してみてください。押し出しやすさを感じることができると、後ろに大きく歩幅が作れます。そして、重心の載らない側の足がリラックスして振り出される状態を感じられれば、上手にできている証拠です。
・・・もしうまくいかないようであれば、両足を揃えて立った姿勢から「休め」のポーズをしてみてください。腰に手を当ててみると、骨盤に重心が載っている側の腰は上に上がり、休んでいる足は膝が前に出るような形でリラックスができているかと思います。ここでのポイントは、重心が載っている足の膝は伸びている、楽に立つために膝が伸ばされている、ということです。
・・・それを両足交互に繰り返して行い「腰に重心が載る」「足がリラックスする」を体感してみてください。

 骨盤の傾斜を実感させるのに「休め」のポーズをするというのはとても分かりやすいですよね。
 また、ここは競歩のくねくねした身体の使い方が納得できるところでもあります。ランニングの場合は骨盤が傾斜しても両足が地面から離れている時間があったり、着地足が伸びきっていないこともあり、くねくねしないのでしょう。

 

Lesson4: 膝のリラックスを意識して歩こう

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 このように上下・前後に骨盤を柔らかく使うことによって「楽に、速く」が生まれるのですが、これから学ぶ動作はステップ3を習得したことによって可能になる「膝をリラックスして使う」動作です。
 「レッスン3:体重を利用して歩こう」の動きを忘れずに、次の1~4の動作を意識してやってみましょう。

1.大きく前方に足を出そうと思わないで、膝から下のリラックスを心がけ、太ももの前面部の筋肉で膝下の振り出しだけを意識します。かかとから着地するためだけにつま先を上げようと思うと、前脛骨筋に負担がかかります。腰の真下ぐらいに振り出してあげるイメージで。

2.着地の瞬間は膝の力を抜きます。

3.膝のリラックスを意識しながら、かかとに重心が載るのを感じつつ、着地した足をお尻・太ももの裏側で後方に引きます。膝のリラックスができれば、自然と膝が伸びるフォームになります。

4.足の裏で、かかとからつま先まで重心が移動していくのを感じながら、足の裏で感じる体重をお尻・太ももの裏側で前方へ押し出します(地面は蹴らないように)。

  Lesson3での歩く動作を違う観点(=関節の脱力)で解説しています。足首関節や膝関節を固めるような力みを取り除いて動作しましょう、ということです。常々意識しているというよりも、自然に(無意識に)脱力できているのが理想でしょうが、歩いたり走ったりしている際、動作がスムーズにいっていないと感じた時に「足首に力が入っていないか」「膝に力が入っていないか」と意識してみるチェックポイントといえるでしょう。

 

足と足の幅は?

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 一直線上を歩くということは、身体を支える軸が一本しかないので、不安定になります。面白いことに、この不安定さが歩きやすさを生み出します。不安定の上に載っている重心は、「不安定だからこそ」少しの力で重心を移動させることができるからです。だからスムーズに重心が移動していきます。では、一直線上を歩くのが正解なのでしょうか。
 実はそうとも言い切れません。不安定だからこそバランスを崩しやすいという欠点があります。
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 では、どうすれば良いか。正解は、両方をうまく使い分けることです。
 ウォーキングの初心者、体力に自信のない方、道が悪い(芝など不安定な場所)場合は、二直線歩行を意識して、転倒しないように安定して歩く方法をお勧めします。
 ちょっと速く歩こう、体力的に自信がある、歩く技術があるという方は、一直線上を歩くのを意識して、重心をスムーズに移動させるという感覚を身につけるというのも良いでしょう。

  この一軸意識と二軸意識も、もちろんランニングに当てはまる意識です。実践してみて気づいたのは、一軸意識で走ったり歩いたりすると、重心が少し上に上がるということです。疲れてきて姿勢が崩れて身体がつぶれてくる(猫背気味になる)と重心が下がってくるので、この一軸意識を持つことは姿勢矯正にもつながると思います。ただし背骨を反らせすぎないように気をつけたほうがいいでしょう、ランニングフォーム教本に時々指摘されていることですが、頭頂から糸で上方に引っ張られているというイメージで重心が下がるのを防止するのがおススメです。

 

 最後にドリルトレーニングや補強体操がいくつか紹介されています。

・背中を使う腕振りトレーニング:歩きながら腕を回す

・体幹を意識したトレーニング:手をみぞおちの前で組んで、そこが足の付け根だと意識して(みぞおちをひねるという意識で)歩く

・片足で立つトレーニング:腰に手を当てて片足で立ち、立つ足に意識を置いて交互に立ちながら進む

  ランニング前のウォーミングアップにも良さそうなドリルです。どこに意識を置くかを自然に誘導してくれるドリルで、簡単にできるところがいいですね。

 

以上ですが、読んでみてやはりウォーキングの延長線上にランニングはあるのだな、と改めて思いました。ランニングフォーム改善にとても参考になりました! 

 

競歩式 最強ウォーキング

 

 

 ちなみに少し前(2010年)に出版された本なのでアマゾンでは中古品で値が上がったままです。その価値は確かにあるとは思いますが、著者が別途、廉価版を自らのサイトで販売しています。そのリンクが下記です。

 

www.pro-walkingcoach.com