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ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

身体操作教本:「『奇跡』のトレーニング 初動負荷理論が『世界』を変える」 小山裕史 著

筋の共縮を防ぐ動作を身につけて、しなやかに走る!

  前々回の記事で同じ著者の「小山裕史のウォーキング革命」を紹介しましたが、その本の中で「初動負荷理論」というキーワードが何度も出てきました。前著では、その理論についての説明があまりされていなかったので、本書を手にとりました。果たして「初動負荷理論」とは…ありました!35ページのコラムで著者が、その理論を以下のように定義したとあります。

反射の起こるポジションへの身体変化及び、それに伴う重心位置変化等を利用し、主動筋の「弛緩ー伸張ー短縮」の一連動作を促進させると共に、その拮抗筋ならびに拮抗的に作用する筋の共縮を防ぎながら行う運動

  理論の定義ということだけあって、なかなか言葉から理解するのが難しい…まぁ、運動全体の理論ということで抽象的表現となりますよね。「走る」という具体的動作でいえば、

  • 「反射の起こるポジションへの身体変化」=着地でのフォーム変化
  • 「主動筋」=ハムストリングスや腸腰筋
  • 「その拮抗筋ならびに拮抗的に作用する筋」=大腿四頭筋や腓腹筋(ふくらはぎ)

ということでしょうか。とすると以下が初動負荷理論のランニングの定義でしょうか。

着地でのフォーム変化及び、それに伴う重心位置変化等を利用し、ハムストリングスや腸腰筋の「弛緩ー伸張ー短縮」の一連動作を促進させると共に、大腿四頭筋や腓腹筋(ふくらはぎ)の共縮を防ぎながら行う運動

 自分としては以上のように理解し、本書を読み進めていきました。以下、ランニングに関わる部分に焦点をあてて抜粋します。

 

 

今まで「走る」ことの基本として教えられてきた、膝を高く上げて、つま先で強く地面を蹴るという、全くもって不合理なこの動作を続けると、ももの内・表・裏側の筋肉が硬化します。

 著者は、このことが骨盤後傾を誘発し、ひどくなると「オスグッド病」という膝下が変形してしまう症状になるといいます。若いときこそ、本来の走り方をきちんを教わらないと部活などに励むまじめな子は危ないですね。

 

初動負荷走法について、要点を分かりやすく解説すると、
特徴① スタートでブロックや地面を蹴らない。
  ② 重心移動を先行させる。
  ③ 膝を高く上げて地面を蹴らない。
  ④ つま先で蹴らない。
  ⑤ 平行に、フラットに着地する。
  ⑥ 腕を振らない。

 初動負荷理論を基にした走法「初動負荷走法」の要点が紹介されていますが、やってはいけないことの「蹴らない」「振らない」を除くと重心移動の先行足を平行にしたフラット着地ということになります。この2つのすべき動作とすべきでない動作は一致することになるのでしょう。例えば、地面をけらない動作=足を平行にフラットに着地する、というような。

 

「ヨーイ」の時に、腰を落として「タメを作りなさい」と教わる人もいるようですね。
じつはこの「タメ」とは共縮、筋肉の緊張状態を示します。緊張、共縮状態の中でスタートすれば、自分の意志とは無関係に身体が浮き上がり、1歩目の着地は身体を前に進めず、ブレーキをかける動作になります。
わざわざ凄い緊張状態を作り、次の足もスムーズに出せない状態にして、一生懸命スタートしようとしているのです。

  著者は、学校の徒競走などでの「ヨーイ、ドン」のスタートの構えのダメ出しを例に、初動負荷理論で走る動作を具体的に解説されています。イラストもあって分かりやすいのですが、それは本書をご覧ください。
 この「ヨーイ」でのタメは共縮を引き起こすやってはいけない動作(姿勢)だということに納得しましたが、これはランニング時の身体の沈み込みにも当てはまるのではないでしょうか。腰が曲がって骨盤が後傾し、脚に余計な負担がかかり、その後にさらに身体を持ち上げるような余分な筋力がかかってしまうような、そんな良くないことが連鎖してしまうランニングフォーム=身体の沈み込みも、この「ヨーイ」でのタメの姿勢に置き換えられそうです。

 

 

股関節膝関節足首の関節が、垂線下に並ぶように、この3つの関節が直線で結べて垂直線を作るように、前足の形を作ります。・・・股関節・膝関節・足首の関節が垂直に並び、これで身体のバランスが片足に集中しますので、私が「垂直軸」と名づけました。
完全な垂直軸とは、どちらかの足が完全な垂直軸を作り、反対足を垂直軸のできた足に寄せて浮かせた状態で、上体・頭部も腕も左右に移動せず、水平ラインを保てる形態です。

  この(徒競走などのヨーイ・ドンでの)前足の垂直軸はランニング時には前足というよりは後足になりますね。もしくは、前とか後ろというよりは着地足(=垂直軸)というほうがいいでしょうか。

 

垂直軸をつくるうえで大切なことは、膝を走る方向に出しすぎて、いわゆる「膝を潰さない」ことです。緊張・共縮が起きます。この状態で転がるように骨盤から体重移動を行います。うまくできれば、妙な力感もなく「タタタ」とスタートできることを体験できます。後ろ足のつま先は内側を向くほうがベターです。

  着地脚の「膝を潰さない」=膝を折り曲げ過ぎないことは、やはり身体の沈み込み防止になります。だけど意識的に伸ばすと前腿が力みすぎてしまうので軽く曲がっているのが理想なのでしょう。
 アンダーラインを引いた箇所は、ここでは走りはじめの表現なので、後ろ足とは遊脚のことです。その遊脚のつま先が内側を向くとは、脚が内旋しているということでしょう。

 

垂直軸または、垂直軸に似た状態を作ることで、反射の生まれるポジションを得、そのポジショニングと重心移動によって生まれる力が「適度な負荷」となり、リラックスしていた筋肉が、バネのようにリラックスと伸び縮みを繰り返させられ、「共縮」を防ぎながら、負荷の減少とともに水平速度を高めスタートする。この時、膝ではなく股関節を伸ばす(股関節伸展)力を利用する。―これが初動負荷スタートの定義です。

  スタートに限ったことではないですが、「膝ではなく股関節を伸ばす」こと、また遊脚の振り出しは上方ではなく水平方向の意識を持つことはすごく大事だと思います。そしてこれらの動作、支持脚(=着地側)の股関節伸展と遊脚の水平方向の振り出し(内旋)をほぼ(ほぼほぼ)同時に行うことがポイントです。支持脚の股関節を伸ばしてから、遊脚を振り出す、という順番ではないのです。ほぼ同時(タターンという音感イメージですかね)であって、その左右(支持脚と遊脚)入れ替えが順番という意識です。

 

 「反射的・加速的に動くためには、右足が出る時に、右足に右胸を乗せるように、左脚が出る時に左胸を左足に乗せるように動作させる。垂直軸が形成された上に交互に上体が乗り込むので、地面を押す力が大きくなる。
 肩、肩甲骨、鎖骨の動きが柔らかい動作のできる人であれば、右足に右胸が乗る時、肩甲骨がスライドして、右腕は加速的に内向きに動く―これをDodge Movement(かわし動作)と呼ぶ。
 この動作ができると、反射的に骨盤にまでいたる大きな背中の筋肉が瞬時に働かされ、骨盤を通じて接地足のもも裏の出力を爆発させる。そしてその後、振り出し足の緊張を緩めて、振り出しやすくする」―初動負荷走法定義

 自分のレベルでは、まだこの腕が加速的に内側に動くという動作(=かわし動作)が腑に落ちていません。というか、初動負荷走法のポイント⑥での「腕を振らない」意識が腑に落ちていて、股間節を動かすことを優先させて腕は勝手に振られるようにしています。たぶん、腕を前方に振らさせないで、腕を身体に巻き付かせるように内側に捻るようにするのでしょうか。 

 

四足歩行の動物の動き出しは、後ろ肢からです。動物の動きも、人間の良い動作も「後輪駆動」で、中心にはもも裏や内ももが働きます。胸の入れ替え、垂直軸を作る、足を出す動作よりも重心移動を先行させるなど、速く走るための大切な要素が繋がってきます。

  本書の第1章「走る」の終わりのパートで、馬を代表に四足動物と二足歩行の人間との比較を行い、脚の裏側の筋肉を主動筋にすることの重要性を説いています。

 

 本書は、序章(ワールドウィングへようこそ)から第1章(走る)、第2章(投げる)、第3章(打つ)、第4章(蹴る)、終章(素敵な出会い)という構成です。
 このブログでは、ランニングに関わる第1章だけ紹介させていただきました!
 

 

 

「奇跡」のトレーニング 初動負荷理論が「世界」を変える