ランニング フォーム 改善! 股関節と肩甲骨を動かそう!

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

身体操作教本 「足についての本当の知識」 水口慶高 著 木寺英史 監修

足について知ることで身体の使い方が変わる!

 

 今回は「」=ウォーキングやランニングにおける末端について勉強してみようと、「」をキーワードに検索して、この本に辿り着きました。ところが、身体操作教本の「常歩」シリーズにつながっていました(木寺氏が監修なので当たり前ですが)! 常歩おそるべし!しかし今回は常歩の本とは切り口が異なります。
 これまで紹介した「常歩」シリーズとの違いは、やはり「足」にフォーカスして各章の解説が始まっていることでしょうか。そこから足だけではなく身体の使い方にまで波及していきます。末端の使い方を変えるには、コア(中心)の使い方や身体全体の使い方を変える必要があるといいます。しかし末端である足の状態(足を整えること)で、逆に身体全体の使い方に影響を及ぼしていることがあるというのです。ランナーにとっては恐ろしい話ですよね!
 また、この本では知識を得るだけでなく、いろいろな体感テストがちりばめられていて、足の状態が身体全体に影響することを実感することができます(補助者が必要なものが多いですが)。ずばり、ランニングフォーム改善に役立つ内容満載です!それではその内容を抜粋します。

 

 

CHAPTER 1  「本当の」足の話

柔らかい足、硬い足

 足は接地時に衝撃を和らげるため、柔らかい状態になる。そして、足に乗り込み、推進運動をスムーズに行うために、接地した直後から硬い状態に変化する。その状態は地面から足が離れ、次の接地の瞬間まで続く

 

スネを外旋させると足の骨は結束を強め、高いアーチを形成して「硬い足」になる

スネを内旋させると足の骨は結束を緩め、アーチが低くなり「柔らかい足」になる

  

 この「柔らかい」と「硬い」という言葉はイメージしやすくて、とてもいい表現だと思います。今まで他の教本ではこのような表現は無かったです。しかも、「硬い」という言葉はランニングフォームにとって、どちらかというとネガティブ要素を持つ場合が多いと思いますが、ここでは理想的なランニングフォームにとってポジティブ要素での表現となっています。「柔らかい」足から「硬い」足に変化させるなんてすごい表現だな!と思いませんか? しかも接地なんて一瞬のことなので意識的に変化させることは不可能です。どのように身体を動かして、パーツ(の3次元的方向)をそろえて、その変化を誘導するかがカギなのでしょう。

 

 

CHAPTER 2 外反母趾の話 ~外反母趾はカカトの病気!~

宙に浮いた足のつま先を左右に動かす運動を見ると、みなさんには足首の運動に映るかもしれませんが、この運動ではおもにカカトの関節が動いているのです。また、荷重した状態においてカカトの関節の動きでつくられる足の形は、土踏まずが高くなったり低くなったりする動きとして現れます。つまり「柔らかい足」と「硬い足」をつくっているのは、カカトの関節と隣接するカカトまわりの関節なのです。「柔らかい足=アーチが低い=回内」「硬い足=アーチが高い=回外」です。

 この章では、外反母趾の原因となる足の動き(過回内)についての説明が主ですが、上の抜粋にある通り、カカトの関節が取り上げられています。 この後の章でも出てきますが、カカト着地がランニングフォームにとって悪者扱いされているなかで、カカトの重要性を認識する一つのヒントだと思います。カカトの使い方(接地の仕方)でアーチを変化させ、足を柔らかくしたり硬くしたりを誘導させるとは…面白いですね。

 

CHAPTER 3 体が悲鳴を上げる「足」の問題 ~「足」の問題は腰、肩、首などに波及するのか?

 

足は体の土台~足が変われば体がかわる

一時的に足の構造をできるだけよい状態にする手軽な手技:雑巾絞りの要領でカカトをおさえて、つま先側を外側から内側に軽い抵抗がかかるまでひねります。ポイントは軽く抵抗がかかる程度で行うことです。こうすることで緩んだ足の骨の結束が一時的に強まる。逆にねじると崩れる。

 

体幹バランスと足の問題

腹部には背骨以外に骨格構造がない。腹部の深層にあるコアマッスルがつくる「腹圧」によって体幹バランスが保たれている。つまり、お腹にある風船がしぼんだり、張りつめたりすることで体幹バランスを維持している(=コアスタビリティ)

代表的な代償パターン(下から上への連鎖)
足過剰回内⇒ 脚内旋⇒ 骨盤前傾⇒ 腹圧低下
このような姿勢の人は腰痛や肩こりを発症しやすい

 

良い姿勢と悪い姿勢

下腿下3分の1のところに仮想の中心線を引きます。そして、脚の第2指の付け根とその線を結んだ位置でがんばって立ってみてください。そうすると、つま先は必ず外を向きます。おそらくほとんどの人が脚を外旋し、お尻の割れ目をくっつけるようにしなければ作れない姿勢になってくると思います。それが自然にできている人はおそらく体幹や肩まわりもすっきりとした見た目のいい姿勢になっていると思います。

 ここで紹介されているインスタントな足の整え方=「カカトを押さえてつま先を外から内側に絞る」=「足の雑巾絞り」は、自分にとって画期的といえる身体調整法となりました。 今までは足裏が疲れてくると土踏まずを刺激したりしていましたが、これを知ってからは「足の雑巾絞り」をして疲れをリセットするようになりました!
 また、腹圧による体幹バランスの維持(コアスタビリティ)が足の回外や脚の外旋から影響を受けるとういうことも、ランニングフォーム改善にとって重要なポイントになるといえます。

 

CHAPTER 4 立つこと歩くことを考える~しっかり立つ、踏みしめて歩くことが本当にいいの?

転がる足~形と仕組みが動きを作る~

ヒールロッカー骨、アンクルロッカー骨、フォアフットロッカー骨の3つの足の形と仕組みが「転がるメカニズム」を作り出す。努力感なく前進できるように人間の体はできている。※「ロッカー」とは「揺らぐ」という意味、ロッキングチェアの足の部分の床に対する動きとイメージ。

 

アンバランスが動きを作る~二軸感覚のすすめ~

体を移動する行為をスムーズに行うためには、いかにストレスなく、身体重心を次のスペースに移していくことができるかということが大切=いかに身体重心(COG)と足圧中心点(COP)のポイントを外し続けるかがカギ。

中心軸感覚:一本の線の上を歩いているような感覚
二軸感覚:軽く足踏みをして自然に立った両足のある位置から伸びる、二本の線をイメージして歩く感覚

 

身体の不思議、先回りシステム

先回りシステム⇒ 予測的姿勢調節、先行随伴性姿勢調節
先回りシステムが働くと、いち早くコアが働く
平均台や綱渡りをするような歩行においてはこの機能が著しく減弱するというデータがある⇒ 先回りシステムは、一本の線を歩くような歩行の時に機能しにくくなる

 

体が求めるウォーキングとは

アゴを引く」や「ヒジを直角に曲げて、後ろに引くように腕を振る」は前に進みにくくする要素⇒ 試しに、目をつぶって立って、後ろに引く意識で腕を振ってください。また、腕を前に振る意識を強く持って振ってみてください。体がどちらに行こうとするかが解ると思います。腕を前に振る意識を持った方が前に行こうとするはずです。

フォアフットロッカーが起こる時、同時に起こっているのがオートマチックなヒザの屈曲、つまり「ヒザの抜き」なのです。

体のどの部分が移動したら「歩く」ということが成立するか⇒ 足でもなければ頭でもない、大切なのは身体重心(COG)です。そのためには足を遠くにつく意識はいりません。振り出される脚に同じ側の胸を載せて移動する感覚で歩いてみてください。振り出される脚側のお尻を叩きながら歩けば自然とそのような感じで歩くことができるでしょう。

 この章はランナーにとってキモの章です! 目からウロコの知識満載です!
 まず、「転がる足」。前章でもカカトの使い方がありましたが、さらにここではカカトのロッカー(転がる)機能を発動させて推進力を生み出すなど、「カカト」着地の重要性を訴えています。 ちなみに、カカト着地といっても適正なフォーム時(身体の真下あたり)というのが前提です。
 二軸感覚については、常歩シリーズの身体操作教本に詳しいですが、COP(足圧中心点)とCOG(身体重心)をずらし続けるという表現がわかりやすいです。
 先回りシステムはランニングフォーム改善における意識の部分で画期的な知識といえるでしょう。結果的に(スピードが乗ったときに)足が直線に近づいていくことはあっても、直線上を走るように意識してはいけないのですね。先回りシステムを阻害するし、脚の内旋(足の回内)を誘導させることにもつながりかねないですから!
 体が求めるウォーキングとは、ズバリ体が求めるランニングにつながります!「足を遠くにつく意識はいりません」は重要ポイントです! 身体重心(COG)を前進させるのですから、足をそれよりも前方に持っていってはブレーキになることは明らかです。足と地面の接点(接地点=足圧中心点=COP)は身体重心(COG)よりも後方が理想的だということになります。骨盤も自然に前傾することになります。

 

 

CHAPTER 5 ランニングブームと足の問題~「歩く」と「走る」を分けているのは人間だけ!

接地時の衝撃は敵か味方か?

「形が動きを作る」⇒ カカトはその丸い形状で必ず転がります。また、接地した瞬間に床反力のベクトルはヒザを曲げる力として働きますし、カカトの回転もそれを促します。つまり、(適正なフォームでカカトから)接地した瞬間にヒザや股関節、そして体幹と衝撃吸収の役割を果たす全身の機能を呼び起すのです。

シューズ選びのポイント
・カカトの骨を安定させるヒールカウンターがしっかりしている
・トーションバランス(ねじれ剛性)がある程度しっかりしている
・フォアフット部分が柔軟に曲がる構造(フレックスポイント)をそなえている

「走る」の意識改革

 まずは一度、考えをリセットして「歩く」は「走る」、「走る」は「歩く」と考えてみましょう。この発想が自分の中にすんなり入ってくると、走ることがおもしろくなってきます。

「運動は連続している」⇒ スタートラインに立ったランナーのパフォーマンスはそこから始まるのではありません。立って歩いてスタートに行く前に、たくさんのスイッチが入っています。・・・つまり、その日の朝からの動作の連鎖がスタートラインに持ち込まれているわけです。

  この章がランニングについてのメインとなっているようですが、ランナーに役立つ足や身体操作の主な知識は前章までにほぼ紹介されています。カカト着地の重要性も前章で解説されたことですが、「形が動きを作る」は至極名言です!深い言葉です!
 また、ここでハッとさせられたのは、上にある「運動は連続している」の内容です。なるほど、普段の身体の使い方や歩き方が崩れていて、ランニングの直前にストレッチやウォーミングアップでランニングフォームが整うなんてあり得ないのですね!

 

 CHAPTER 6 「足」と「からだ」・・・おまけの話

左足と右足の不思議

1歩目を左足にしてしばらく歩いてみてください。そして、あるタイミングで、右足から始まる歩行に変えてみましょう。すると急激にブレーキがかかるような歩行になるのがわかります。

「右足が進む方向は、進行方向に対してますっぐではない」⇒ 体を少しだけ左に回旋すると前に進みやすい

左と右それぞれの特異性は私たちが考えているよりもはっきりとしています。左と右はまったく別物と考えたほうがいいでしょう。

 

「足」にまつわる神話? 迷信?

✖ 母指球から接地する足踏みをすると、力が入らなくなる

〇 小指球から母指球に乗る意識で足踏みをすると、コアが活発化し、良好な結果が得られる

土踏まずに触るだけで腹圧が落ちる。構造的な問題だけでなく、神経系のリスクも想定できるのでは?

  最後の章も「おまけの話」と副題がありますが、いいや、ランナーにとっては、おまけではない重要な知識だと思います。
 ランニングフォーム教本やストレッチ教本などでは、身体の左右差について、その身体の歪みを是正せよという内容がほとんどですが、ここでは逆に受け入れて、活用せよとでもいう内容で、新鮮でした! で、普段の動作でもこれを受け入れると確かにスムーズに動けるような気がします。暗示にかかったようなものかもしれませんが…、もともと誰でも身体に左右差があるのは確かですからね…!

 

足についての本当の知識  水口慶高 著 木寺英史 監修