ランニング フォーム 改善! 股関節と肩甲骨を動かそう!

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

身体操作教本 「一流選手の動きはなぜ美しいのか からだの動きを科学する」 小田伸午 著

ランニングフォーム改善に役立つ知識満載の読み物だ!

 

 またまた小田氏の本です。もちろん(前に紹介した本と)内容は重なりますが、新たな内容や同じ内容でも違った表現もあるので理解が深まります。今回は写真やイラストはあるものの文章が多めで、ハウツー本というよりか、読み物として楽しめる内容だと思います。だけどやはり、ランニングをしたり体を日常的に動かす人が読んだほうが百倍価値がある本でしょう。

  さて、第1章は前に紹介した「怪我をしない体と心の使いかた」でもありましたが、「主観と客観のずれ」の詳しい説明です。この「ずれ」に関して解説してある教本はすごく少ないと思います。当たり前といえばそうなのですが、基本的に、他のスポーツ動作ハウツー本は客観主義でしょう。一部、一流選手が著者となっている場合は、自分の感覚で主観的な表現もあるとは思います。が、その「ずれ」に関して、主観と客観を行き来するようなコメントをしてあることは稀でしょう。下の解説(バネの誤解)にある着地脚の意識(主観)は、ランニングフォームの改善に大変参考になります!

 

 

第1章: 主観と客観のずれ

 

バネの誤解短距離走の中間疾走で、着地した脚の膝は曲がるのか、それとも伸びるのか。着地したときは曲がって、地面から離れていくときに伸びると答える人が多いと思います。ほとんどの人は、縮んで伸びるバネを想像して、曲げて伸びる膝が良いと思っています。・・・世界のトップスプリンターは、着地直後に、膝の角度がやや曲がったままキープされ、地面から離れる寸前に、さらに曲がっていくという研究データがあります。ここまでは科学の世界です。
 ここから先は、走る人の感覚の世界になります。世界一速く走る当人は、着地期に膝が曲がったままキープされ、離れる寸前にさらに曲がることを意識しているとは限らないのです。膝が曲がるというのは観察された動きであって、走るときの感覚ではありません。

 動きの本質:それ以来、もやもやしていた杉本選手(競歩)のなかで、接地中に脚が前に行くのだ、という明確なイメージが浮かびました。・・・接地中の脚も腰も接地足を支点として逆振り子のように(メトロノームのように)前に行くことに気が付いて、後方回転のイメージが浮かんだのです。・・・客観的にみてスムーズな前方回転の脚動作を生み出すには、後方回転のイメージを持つことだと気が付いたのです。

 スポーツに学ぶ:主観と客観のずれを教えてくれる力を、本書では「スポーツ力」と呼びます。スポーツから学んでスポーツ力を身につけた人は、人生において社会人として活躍できる基盤の一つを備えていると思うからです。

 

 上記の「バネの誤解」を第2章では「屈曲感覚」として客観的に解説しています。そこに外力である地面反力も登場してきます。 この外力(重量と反力)を活用できるランニングフォームを手に入れることができるかで、走りの効率性が決まると言ってよいでしょう。
 また、小田氏の教本で今回初めて教わったのは、力まずに足首を固定するコツです。これも主観的な意識の解説だと思いますが、草履の鼻緒を登場させるなど、とても分かりやすくイメージしやすいです。これを無意識でできるように訓練することが、ランニングフォーム改善に役立つのでしょう。

第2章: 筋力に対する誤解

 

  屈曲感覚: 地面反力が最大になる場面は、しゃがむ途中でもなく、立つ途中でもなく、切り返しのとき、つまり曲げて、支えて切り返すときが地面を一番強く押しているのです。・・・地面反力は、素早く曲げて、素早く切り返したときに、大きな力が得られます。重力で体全体が真下に落下し、すかさず、それを急激に上方向に切り返すのです。・・・からだが重力落下するためのきっかけは、膝を素早く持ち上げ地面から引き上げるようにする動きです。・・・
 大きな力を地面からもらうコツは、足首や膝を伸ばす感覚ではなく、屈曲する感覚を持つことです。切り返すときに使うのは、膝や足首を伸ばす筋肉ですが、動作のスタートは屈曲筋群を使うことが重要です。

  内力と外力: 重力も地面反力も、人間を中心にみれば、からだの外からやってくる力です。これを外力と言います。・・・内力=筋力と考えていいでしょう。・・・そして内力と外力が協調するからだ使いがあるのです。

 伸展と屈曲: 見た目の動きは膝や股関節が伸展しているのに、そのときには、その伸展を止めて屈曲させようとする力が働いている。・・・体重をかけたときに足首を大きく曲げてはいけません。足首を固定するには、足首の伸展力と屈曲力の両方をかけることです。・・・草履の鼻緒をつまむように、やや爪を立てるようにし、軽く指の腹で草履の台をプッシュするような動きをしてみましょう。足首を曲げる意識がなくても、自然と足首に屈曲力がかかって曲がるのがわかると思います。

 

 ランニングの腕振りに関して、手のひらの向きとその理由(外旋方向への腕の捻り)を解説してある教本は少ないでしょう。しかし、この動作(手のひらを前に向ける)もランニング中に極端に、力んで行ってはいけません。自然に、わずかにでも外旋がかかるように腕は振るべきだと思います。

第3章:手足、体幹の使い方

・前肩の人の上腕が内旋しているのは、胸が閉じた体幹姿勢に原因があります。みぞおちを1センチ前に出して少し持ち上げてみましょう。こうすると、胸が開きます。決して肩を後ろに引くことで、前方を修正しようとしないことが重要です。肩を引くと、肩周辺が緊張してしまいます。肩を引くのではなく、胸(みぞおち)を前に入れることで、リラックスした肩のニュートラルポジションがとれるようにします。

・腕を後方にスウィングするときに、手のひらを前に向けるように外旋方向にねじります。このとき、反対の腕は内旋(手の甲が前に向く)方向にスウィングします。この左右の腕の外旋・内旋運動を胸元の胸鎖関節から行います。

・実は、前に進むときは外旋が強いのですが、綱引きのように、後ろに下がりながら引く力は、内旋のほうが強いという性質があります。

・四股スクワット:膝から下の下腿部が地面と垂直になる足幅。体重を踵近辺に落とし体重を預けた股関節と踵が連動するような感覚。足裏のアウトエッジ感覚。

・開脚トレーニング:開脚して膝をゆるめて足首を伸ばす。外くるぶしが床につくように股関節を最大に外旋させる。同時に外側で地面を押すようにして、ももの裏側のハムストリングスに緊張を与える。このとき、膝がやや曲がっている。この状態を10秒続けたら、両踵を外に押し出すようにして膝を伸ばし、足指が上を向くように足首を屈曲させ、膝頭が真上からやや内を向くようにして、後傾していた骨盤を立てる。

 

  「スキップ感覚」というのも「主観と客観のずれ」が分かったら、ランニングフォーム改善に対して役立てることができるようになりました! よく、ランニング教本やランニング教室などでもウォーミングアップにスキップを取り入れていますが、その動作をさせる理由を客観的、主観的に説明することはあまりないように思います。自分としては、下にある「タタッタタッ」という表現が、主観的な感覚としてとても参考になりました。客観的には、地面への重力の衝撃と反力なのでしょうか。初めの「タ」が着地の瞬間(接地時)の重力によるもの、次の「タッ」は、地面反力をもらった離地時のもの、というのが自分の理解です。
 また、支持点(着地脚)と重心点をずらしていくというのも、ランニングフォーム改善にきっと役立つことでしょう。支持点と重心点のずれは、基本的には前後で解説されることが多い(倒れこむように走り始めること)のですが、左右にずらすことを指摘されることはないでしょう。ただし、これも意識的に力んでの動作ではなく、無意識にそうなっていることが理想です。下の「骨盤の動き」などはこの左右のずれを誘導させる動作です。

第4章:走り方を考える

スキップ感覚:歩行時に膝の抜き感覚を覚えるのにも、スキップ感覚はおすすめ。まずスキップをしながら歩行に移行。歩行は、通常はイチニイチニのリズムですが、実際にスキップをするのではなく、心の中でタタッ・タタッとスキップのリズムを刻む。これで軽やかで軽快な抜きの歩行ができてくる。

重心点と支持点:(カヤックのパドル操作において)水に入れたブレードを手前に引くのではなく、右で水をキャッチしたら、左腕の側にからだを寄せながら、左腕で押して艇を進めるのです。 ランニングにたとえると、水に入れたブレードが支持点です。支持点の上に重心点を乗せて水を掻くのではなく、支持点が右なら左に重心点をずらす身体使いをするのです。

骨盤の動き:ランニングでは、左脚が着地していくときには、骨盤は着地していく左脚のほうに向かって回転する。つまり左回転です。ということは、支持脚側の右腰が前に出てゆくような動きともいえます。

  やはり、同じ著者の本も複数読んでみると、重複する箇所が多いとしても新発見も多いです!もしくは、すでに説明してあったことが、他の表現として登場して気づいたということかもしれませんが、同じ本を何度も読み返すよりも気づきが早く新鮮でしょう。

 

一流選手の動きはなぜ美しいのか からだの動きを科学する (角川選書)