ランニング フォーム 改善! 股関節と肩甲骨を動かそう!

ランニングフォームの改善に役立つ教本や関連本を紹介、フォームを進化させて走力を上げましょう!

身体操作教本 「常歩式 スポーツ上達法」 常歩研究会 編

常歩の誕生と動作活用の具体的指南書

 

 前回に続き、小田伸午氏の著者を調べて、出版年を遡って本書に辿り着きました。当ブログで以前に「本当のナンバ 常歩」(木寺英史著、2004年出版)を紹介しましたが、本書は2007年出版で、発行元も同じ(スキージャーナル)なので内容は被っていますが、前著がその動作活用が剣道に偏っていた(剣道師範の木寺氏著なので当然ですが)のに比べ、小田氏、木寺氏、小山田氏を含んだ共著なので、動作活用の幅(スポーツ動作への応用例)が広いです。
 共著ということで章ごとに内容が異なっています。第1章は3名の対談で、常歩の誕生発展の紹介です。第2章は具体的なスポーツ動作(陸上、サッカー、野球)における常歩の要素の紹介。第3章は常歩動作獲得のためのトレーニングの紹介、第4,5章は各分野(バレーボール、スキー)における常歩動作活用のレポート。という構成となっています。各章ともイラストや写真が豊富でとても具体的です。

 

 各章から、ランニングフォーム改善に役立つと思われる身体操作のヒントを抜粋してみます。

第1章:常歩の発見

・結論として、常歩の全身の動きには、「股間節の外旋」、それから「上腕の外旋」が見られるのです。上腕が外旋して前腕は回内するという話に、現在は至ってきています。それが、常歩をつくる上での動作ポイントであるということです。

・支持脚が軸という考え方から、遊脚が軸だという考え方になり、左右軸の切り替えをもっと早くしておかないとだめだということになってきました。軸というと、どうしても「支える」という意味でとらえがちですが、これは動きの、つまり「動」の軸。静の軸ではないのです。

・肩に外旋がかかると、股関節にも外旋がかかるんですね。そういう動きをしないと、身体はローリングしてしまうんです。・・・ローリングを抑えようと思ったら、右と左で同時に外旋をうまくかけないといけない。それをうまく使うと、二軸になるんです。上と下で外旋がかかれば、そこに二軸が発生する。それが一番わかりやすい説明かなと思う。

・動きの基礎となるもの、それが武道で言えば「型」と言われるもので、型はそれ(身体をつくること)を教えていたのです。型は「動き」ではない。・・・その身体の機能やエキスを、型によって教え込む。・・・基本というものを二軸動作で考えていけば、各スポーツで共通するものがあります。型に通じるものがあるのです。 

  武道の「型」をランニングに置き換えると、そのまま「ランニングフォーム」となるのでしょう。が、武道の型でも、それを完成させるには腕の出し方や脚の出し方、連動のさせ方などは個別に身体に教え込む必要があると思います。やはりランニングも同様に理想のランニングフォームを身につけるには、同様に各動作を個別に確認しながら身体に教え込む必要があると思います。

 

第2章:常歩とは何か

・「空中に浮いている足が軸である」と考える。動きのなかで体重が乗っていく足が軸だと考えている。

・二軸動作では、左腰も右腰も加速したまま、体幹ごと前に押し出す動作である。

・一見すると遊脚側の骨盤が上がっているように感じますが、実際は遊脚側の骨盤が下がり、落下する運動によって接地している。

・後ろ足が前へと送り出されて遊脚になろうとするときは、それまで外旋していた膝がまっすぐ前へ向くように修正される。このとき、股関節はやや内旋・内転位となっている。つまり、着地するときは外旋力が働き、離地したあとは内旋力で脚を引き戻す、というように、外旋と内旋がひとつのサイクルをつくって足を運んでいる。内旋で引き戻した脚は、ふたたび外旋力を得て身体を前へと押し出す役割を担います。

 「遊脚側の骨盤が下がり、落下する運動によって接地」という感じをつかむのはけっこう難しいと思います。どうしても遊脚(接地していない側)を上方に上げてしまうことが多いのではないでしょうか。一般的に、接地した後は足を地面から「上げる」という動作になってしまうと思うんです。接地した後の足自体は地面から上がるけど、同じ側の骨盤が下がるとはどういうことか。ここを理解することがポイントでしょう。この遊脚側の骨盤の下げは、いわゆる「膝の抜き」でしょう。膝を抜けば、自然とその側の骨盤は下がる。というか、その側の骨盤を下げることが膝を抜くことを誘導すると思います。

第3章:常歩習得法

・身体の上(両肩)と下(股関節)が同時に外旋することで、体幹は安定し、そこに二軸が発生する。そして、左に外旋すれば左に軸が移り、右に外旋すれば右に軸が移る。この左右軸の切り替えこそ、常歩のベースとなる動きなのです。

・外旋するときはハムストリングス、内旋するときは四頭筋に力がかかっている。ハムストリングスに力をかけると、拮抗作用で四頭筋の力が抜ける、ということなのです。

・胸鎖関節が開かないと、骨盤は前傾しない。逆に、胸鎖関節が閉じると(胸が閉じると)骨盤は後傾する。胸の張り方と、骨盤の前傾・後傾は連動している。

・胸鎖関節を開くと、アゴは自然に引きます。

常歩LSD:足幅を骨盤幅(股関節幅)に開いて立つ。つま先と膝を少し外側に向けて股関節を外旋位にする。つま先と膝の向きを一致させるようにする。これで股関節が外旋位になる。膝は力を入れずにゆるめて、伸ばしきらないようにする。目線は、まっすぐ前方か、やや上向きにする。そのままゆっくり倒れこむように走り出す。倒れこむというのは、後ろ足で蹴らないということ。自分の重心を感じてください。重心が斜め前方へ滑り落ちるゆに出て行けば理想的。基本は「二直線走行」ですから左右の足をまっすぐ前方へ着地させる。ちょうど二本のレールの上を左右の足が踏んでいくイメージ。腕の振り方は自然にまかせる。肩甲骨の動きに誘導される。肩甲骨とその周辺の力を抜いて意識せずに自然にまかせる。歩幅を一長足にする。左右の軸を感じてみる。思い切って自分の重心を着地足側に乗せてみる。重心が右・左と移動するのが感じられる。さらに、左右軸の感覚を身につけるためには小指側のアウトエッジに足圧が抜けるような感じで走る。親指の付け根の母指球はほとんど接地しないで浮かせたままにしておくような感じ。

 この章では、常歩を実現させるための身体づくりとして重要な股関節外旋トレーニングが紹介されています。が、しょっぱなから股割りの姿勢からの外旋ストレッチが説明されているのでビビりました。膝を曲げてもいいとは書いてありますが、写真(小山田氏)の股割りが見事なので、劣等感を抱かされます。上記抜粋中の「外旋するときはハムストリングスに力をかける」というのは股割り時の意識です。難しいです…

 第4章、5章は、常歩実践レポートというタイトルで、各スポーツに常歩の動作を取り入れた指導者の実践報告となります。4章がバレーボール、5章がスキーです。特にスキーへの導入例を読んでいると久しぶりにスキーに行きたいなぁと思えてきます。

 

常歩(なみあし)式スポーツ上達法 (SJ sports)